出版社内容情報
佐々木 隆[ササキ タカシ]
著・文・その他
内容説明
列強から認知され、侵略の危機を回避するために、日本は「不羈独立」を国家目標とした。帝国憲法制定、藩閥と政党による議会政治の進展、条約改正、軍事力強化と朝鮮半島・大陸への関与は、西欧に伍す強国たらんとした苦闘の姿にほかならなかった。帝国議会の攻防の日々、調整者としての天皇、一般人の生活等、新知見を満載して描く近代日本の実像。
目次
序章 不羈独立を求めて
第1章 立憲政治の開闢
第2章 元勲内閣の手腕
第3章 島帝国の孤独
第4章 相次ぐ転機
第5章 巨頭宰相の真骨頂
第6章 明治の日蝕
著者等紹介
佐々木隆[ササキタカシ]
1951年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。現在、聖心女子大学教授。専門は国史学(日本近代史)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
98
今回は明治維新から少したった後の状況が描かれています。長州閥が山県閥になって薩摩閥が若干衰退していく様子なども面白く読めました。とくにある明治人の一日という様子が楽しめました。鎌倉から新橋に出ていくまでが大変で様々な鉄道で乗り換えていくので一日がかりという感じです。2017/09/23
ぴー
42
「不覊独立」という言葉をキーワードにして、明治時代の後半を書いている。「不覊独立」を達成するまで、様々な立場の人々が全力だったことが印象に残る。初期議会の政府と党の細かな抗争は、自分には複雑であまり理解が出来なかった。日露戦争の開戦をめぐり、山縣が戦争を回避しようしていたのは初耳で勉強になった。にしても、後半の時代のキーパーソンは伊藤博文と桂太郎なのかなー?伊藤のブランデーに酔ったエピソードは少し笑った。伊藤は苦労したろうに。この2人についても勉強してから、もう一度通史を読みたいと思いました。2024/12/09
coolflat
13
41頁。超然演説は教科書的には藩閥が政党の政権担当・参加を阻むための論理と評価されている。だが、それは一面的な観察である。黒田清隆が述べているのは、日本を強大国化するには不偏不党の公正な政治と政策の連続性が不可欠だが、国民の一部しか代表していない政党に依拠すれば公正な政治ができなくなるので、政府は政党から超然としていなければならないということである。無条件に政党を排除しているわけではない。2023/12/20
かんがく
11
国会開設以降の明治史を、政治史中心に外交史を絡めながら詳述。テーマは「不羈独立」。教科書ではさらっと流される初期議会について、それぞれの人物に焦点をあてて書かれているのでとても面白い。自意識の高い伊藤、酒乱だがサシ勝負に強い黒田、怒ったら地元に帰る井上、無能と呼ばれる松方などの個性豊かな元老だけでなく、品川、樺山などの「中老」などの記述が多いのも珍しい。政党との関係も、山県、伊藤、桂と三者三様でわかりやすく比較されている。大正政変のイメージが強い桂をとても高く評価している。2019/03/07
sibasiba
10
政治史中心。超然主義がメインテーマなのか? 伊藤博文から桂太郎。弱小国が綱渡りながらも二度の戦争に勝利したことで列強の仲間入りを遂に果たすがその途上に助けとなった日英同盟は改定され対アメリカでは役に立たなくなっていた。伊藤博文が韓国併呑に最終的には同意したという話は伝聞資料があるだけで本当のことかは分からないらしい。最も保護国政策は無理があったと思うけど。明治の成功は輝かしいが、その成功のための無理や手法や成果そのものがあとの悲劇の元になっていることがひどくやるせない。2013/09/23
-
- 和書
- タダイマトビラ 新潮文庫