出版社内容情報
長い戦乱の世から武士の平和の世へ文治の始まりと大衆文化の広がり
大坂の陣、島原の乱を経て、<徳川の平和>が実現した。中世末期から続いた戦乱は終わりを告げた。人々が冀(こいねが)ってきた泰平の世はどのようにして確立したのだろうか。武力の凍結、諸法度の制定、「訴」の制度の樹立。新しく生み出された徳川家と諸大名、また公家の関係、町や村の仕組みなどを解析し、情報と知が大衆化した<書物の時代>出現の過程を追う。
横田 冬彦[ヨコタ フユヒコ]
著・文・その他
内容説明
大坂の陣、島原の乱を経て、“徳川の平和”が実現した。中世末期から続いた戦乱は終わりを告げた。人々が冀ってきた泰平の世はどのようにして確立したのだろうか。武力の凍結、諸法度の制定、「訴」の制度の樹立。新しく生み出された徳川家と諸大名、また公家の関係、町や村の仕組みなどを解析し、情報と知が大衆化した“書物の時代”出現の過程を追う。
目次
序章 「天下泰平」の時代
第1章 乱世の終焉
第2章 「鎖国」―虚構の華夷秩序
第3章 寛永飢饉
第4章 村落社会と知
第5章 都市社会の成立
第6章 文治政治の陰翳
第7章 開けゆく書物の世界
著者等紹介
横田冬彦[ヨコタフユヒコ]
1953年生まれ。京都大学文学部卒、同大学院文学研究科博士後期課程修了。文学博士。現在、京都橘大学文学部教授。日本近世史専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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KAZOO
106
豊臣家が滅亡してから徳川七代将軍の頃までの江戸での町民や武士の生活などが今まであまり知らないことが描かれています。池波正太郎や佐伯泰英、風野真知雄の世界に浸っていますがさらに話の種ができそうです。第7章に江戸での書物に関する読書事情が描かれていて参考になりました。2017/08/06
k5
56
江戸の勉強のために通史を読むべえ、と思って読みはじめましたが、臨場感があって非常に面白い一冊。とくに寛永の飢饉に対する幕府、各藩の対応と、その中で起こった浅草蔵奉行の不正事件のところは小説を読んでいるような感じです。あと、島原の乱についても板倉重昌が戦死したあと、派遣された松平信綱が「土人に歴々の武士そんじ申す事は、いなものに候」と言い捨て徹底的な殺戮に転じるというところ、差別意識の硬直化を示すものですが、不謹慎ながら語りのうまさに唸ってしまいました。2021/11/11
ぴー
40
大阪夏の陣〜綱吉政権まで時代を書いた通史。政治、社会、経済、文化等がバランスよく書かれている。印象に残ったのは、寛永の飢饉をきっかけに戦時体制の政治から、民政へと変化した箇所。また、庶民に出された町触が現代にもありそうな内容で、筆者が現代以上の法治国家であると述べていたことが興味深い。第7章の「開ゆく書物の世界」もスラスラと読めた。江戸時代に疎い自分にも分かりやすい通史だったと思います。2024/11/19
coolflat
14
18頁。近世社会は兵農分離体制といって、武士が城下町に集住し、農村にいなくなった社会である。武士が村落にいないことは年貢徴収をはじめ様々な村落行政が百姓へ委任されたこと(村請制)を意味する。そこでは土地台帳等様々な帳簿をはじめ、村からの訴願や領主からの御触など、様々な事柄が文書によって行われねばならなかった。それを担えるだけの百姓の知的能力なしにこの体制は実働しない。それは読み書き・計算能力にとどまらず、様々な訴状を書き、訴訟や裁判を持続してゆく法的な能力でもある。書物の広範な普及もまたそこに関わっている2023/08/01
かんがく
14
江戸初期の幕府支配の不安定性と、それに対して歴代将軍がどのように対応したかがよくわかる。寛永の飢饉に今まで注目したことがなかったが、後の仁政への重視などに影響を与えている。村、都市、出版など庶民についても語られており、新たな発見もあったが、軸がはっきりとせず、やや読みづらかった。2018/10/30