出版社内容情報
14世紀、動乱と変革の時代の諸相を描く。 建武政権の成立、皇統の分裂、足利氏の擡頭。武家の権能の拡大と日本社会の構造的変化。14世紀、動乱と変革の世に生きた人々の姿を追い、その時代相を解析する
新田 一郎[ニッタ イチロウ]
著・文・その他
内容説明
後醍醐の践祚、廃位、配流、そして建武政権樹立。足利氏との角逐、二つに分裂した皇統。十四世紀は動乱と変革の時代であった。後醍醐の「王権」復活の夢はついえ、武家の権能は拡大し、日本社会は構造的な大きな変化を遂げた。南北朝とはどのような時代であったのか。また、鮮烈な個性たちはどのように生きたのか。その時代相を斬り取り解析する。
目次
序章 「歴史」としての『太平記』
第1章 動乱前夜
第2章 帝王後醍醐
第3章 将軍足利尊氏
第4章 『太平記』の世界
第5章 社会統合の転換
第6章 北山殿源道義
終章 南朝の行方―物語の場としての歴史
著者等紹介
新田一郎[ニッタイチロウ]
1960年生まれ。東京大学文学部卒、同大学院人文科学研究科修士課程修了。現在、東京大学大学院法学政治学研究科・法学部教授。日本法制史・中世史専攻、余技に相撲史の研究も(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
99
この巻は、太平記の時代ということで主人公は帝王後醍醐と将軍足利尊氏です。たしかに4章では太平記の時代ということで書かれているのですが、今並行して読んでいる「太平記」の物語には面白さの面ではかなわない感じですね。6章の北山殿源道義という人物をあまり知らなかったので参考にはなりました。2017/05/31
ぴー
24
本書は後醍醐天皇〜南北朝統一まで通史。中世史に疎い自分にも分かりやすかった。鎌倉幕府滅亡→建武の新政→観応の擾乱の流れは理解しやすかった。尊氏と直義のキャラの違いびっくり。尊氏はメンタルやられてるだろうな。個人的には、第5章の「社会統合の転換」が興味深く面白かった。あとは、義満のカリスマ性はすごいなーっていう感想を持ちました。2024/09/30
coolflat
18
137頁。佐藤進一氏は、軍事指揮権を中核とした「主従制的支配」が尊氏、訴訟処理を中核とした「統治権的支配」が直義によって担われたと整理し、ここに「将軍権力の二元性」を見出したうえで、やや後に顕在化する尊氏・直義兄弟の対立の根を、こうした異質な権限の相克に求めている。しかしそこには、まだ別の解釈の余地もある。この両者の権限分割は、鎌倉幕府の将軍と執権がモデルになったと覚しい。鎌倉幕府の将軍は、御家人との間に個別的な主従関係を結び、そうしたパーソナルな関係を通じて規律を及ぼすことを、根本的な役割としていた。2023/03/22
かんがく
18
同時代を扱った本をすでに数冊読んでいるので、あまり新たな発見は無かった。著者の専門が法制史なので、公家社会から庶民までの訴訟や法などについてまとめられているのは良かった。この時代を扱った本を読むと、網野善彦の『異形の王権』と、今谷明の『室町の王権』は絶対に触れられていて、影響の大きさがわかる。2019/05/22
sibasiba
12
足利尊氏の優柔不断加減が笑えるが、この巻での主役は後醍醐天皇。南朝の怪しさの大部分がこの人のせいだ。確かに異形。南北間をめぐるましく往来する人達で関係図がよくわからん。実務官人の南北どちらでも自分の家業のため公事に邁進する姿勢が正しく官僚だ。足利義満の特異性も見所。後南朝は後年の豊臣の残党的な伝奇小説のネタの宝庫になってるな。2013/07/17
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