出版社内容情報
発掘で見えてきた列島の豊かさと知恵の結晶 後期旧石器時代人の遊動生活から縄文人の定住生活へ。自然の恵みとともに生きた古代人の生活、そして生と死を、最新の研究成果に基づき豊富な図版で平易に解説。
岡村 道雄[オカムラ ミチオ]
著・文・その他
内容説明
日本列島に人類が住み始めたのは何万年前か。そこでどのような暮らしを営み、大陸や東アジア地域とどんな交流をしたのか。近年の発掘と研究の成果は人々が自然の恵みとともに生きてきたことを明らかにし、さらには生と死の実態に迫っている。旧石器時代人の遊動生活から日本文化の基層となった縄文人の定住生活まで、古代観を一変させる考古の探究。
目次
第1章 列島最古の文化を求めて
第2章 「新人」たちの登場―後期旧石器時代
第3章 縄文文化の成立
第4章 三内丸山遺跡の生活誌
第5章 関東・中部地方の縄文集落
第6章 縄文人の一年―前期・中期定住社会の生活基盤
第7章 縄文人の一生―生と死と祈りの心情
第8章 大規模集落の解体と祭祀的社会
第9章 「縄文時代の終わり」は、何を意味するか
補章 遺跡捏造事件について
著者等紹介
岡村道雄[オカムラミチオ]
1948年生まれ。東北大学文学部卒業、同大学大学院修了。東北大学、東北歴史資料館、文化庁、奈良文化財研究所などで勤務。専門は日本の旧石器時代から縄文時代、埋蔵文化財保護(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
153
この文庫版では修正されていますが、私は当初ハードカバーで購入してその後捏造事件が出て修正版が作り直されたことを覚えています。この文庫本ではその経緯も書かれていますが、それとは別にかなり縄文時代についての記述が多く私にとっては再度面白く読み直しました。題名どおり当時の生活的な側面が中心ですが参考になります。2017/02/20
榊原 香織
136
全26巻の1。 これが出た10日後にあの石器捏造事件(2000年)が発覚したそうで、全面書き換え。最後の章に書いてあるが、それがあまりに印象的で他の内容がかすんでしまったような。 縄文が注目されたのは三内丸山遺跡から。それだけすごい遺跡なんだな、行ってきてよかった。2025/01/14
翔亀
38
池澤夏樹さんが自然を求めて旅したら<縄文的な日本>の旅になってしまったと言う(「南鳥島特別航路」)。縄文ブームともいわれた。縄文とは何か。本書は「水田稲作をもたらした弥生人に先立つ遅れた人々の異文化」という従来の縄文時代観に対し、日本人のライフスタイルの原点は縄文人と主張する考古学の重鎮が、2002年当時の最新の発掘成果に基づき縄文時代の全体像を明らかにした。日本史通史全集の第1巻を丸々縄文に充てた。快挙だった、、はずが、刊行の10日後に例のゴッドハンド事件、遺跡捏造事件が発覚する。2015/11/08
coolflat
16
旧石器時代~縄文時代、捏造事件の顛末を扱っている。これまでの日本の歴史教育は、今から2300年ほど前、水稲農耕などの進んだ文化を持った人々が、大陸から日本列島にやって来て、それまで日本列島に住んでいた先住民族・縄文人を南と北に追いやって列島の中枢を占領し、弥生文化に始まる倭国、さらには日本国の基盤を創った、という認識だったが、その認識は誤りで、列島各地にはじめから住んでいた絶対多数の縄文人が、ごく少数の大陸系渡来人の文化の影響を受け、農耕社会へと移行したのであり、その結果、弥生文化の始まりを迎えたという。2019/11/07
おせきはん
9
縄文時代の自然とともに生きる豊かな生活の様子が解説されています。水田稲作が普及し、縄文時代から弥生時代に移行したのは、気温の低下や、縄文時代から海を渡って交易が行われていたことを考えると必然だったのでしょうが、コメを食べられることには、それまでの文化を捨てて別の次元に移行するほどのインパクトがあったのですね。2017/04/15