出版社内容情報
習作から円熟の域まで庄野潤三作品群を丁寧に読み解く作家論、初の文庫化。著者と対象のこれ以上ない調和が読む者に喜びをもたらす。小学校、旧制中学、就職先の放送局で庄野潤三の後輩として過ごした阪田寛夫は、いつしか庄野文学最大の理解者となった。習作から刊行当時の最新長篇、そして随筆集までも順に丁寧に読み解くことによってのみ、鮮やかに見えるその豊穣な世界――正確かつ簡潔でありながら深い愛情に溢れる筆致が、読む者を思わず感動へと誘う。類まれな作家論の達成。
阪田 寛夫[サカタ ヒロオ]
著・文・その他
内容説明
文学はすべて人間記録と説く庄野潤三―簡単には内奥に迫ることのできない作品世界に真正面から向き合い、精読を繰り返すこと。愚直にも見える営みが掘り出したものは、このうえなく深く大きい。丁寧な読解と長年の交流を基に、取材をも重ねて到達しえた作家論の真髄。
目次
習作の時代
愛撫
プールサイド小景
ザボンの花
バングローバーの旅
旅人の喜び
ガンビア滞在記
静物
浮き燈台
道
鳥
夕べの雲
丘の明り
流れ藻
雉子のの羽
前途
紺野機業場
小えびの群れ
屋根
絵合せ
明夫と良二
野鴨
随筆集
一枚のレコード(庄野潤三)
著者等紹介
阪田寛夫[サカタヒロオ]
1925・10・18~2005・3・22。詩人、小説家。大阪市生まれ。両親は熱心なクリスチャンでかつ音楽好き。大中寅二(叔父)、大中恩(従兄)等、音楽を身近に育つ。1950年、友人の三浦朱門等と同人誌「新思潮」を立ち上げ習作を始める。東京大学国史学科卒業。朝日放送に入社、上司の庄野潤三に影響を受ける。63年に退社後は童謡の作詞、放送台本、ミュージカル制作で数々の賞を受賞。小説では、75年、「土の器」で芥川賞、87年、「海道東征」で川端康成文学賞を受賞。89年、日本芸術院恩賜賞を受ける。評伝文学、児童文学にも大きな業績を残した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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