出版社内容情報
「西南戦争」の戦場となった南九州の地で名もなき人々によって語り継がれてきた声に耳を澄ます。『苦海浄土』の著者の原点がここに。「侍共は死なんでもよか時も、しゃしこばって死ぬもんじゃが、百姓は危か所にゃ決してゆかんで。保つるもん――」
名もなき庶民が語る、記憶としての西郷戦争
〈内容紹介〉
御一新から十年、下野した西郷隆盛のもとに集結した士族たちが決起した西南戦争。その戦場となった九州の中南部で当時の噂や風説を知る古老たちの生の声に耳を傾け、支配権力の伝える歴史からは見えてこない庶民のしたたかな眼差しと文化を浮き彫りにする。百年というスケールでこの国の「根」の在処を探った、名作『苦海浄土』につらなる石牟礼文学の代表作。
「想うてさえおれば、孫子の代へ代へきっと成る」
体制の思想を丸ごと抱えこみ、厚く大きな鉄鍋を野天にかけ、ゆっくり煮溶し続けている文盲の、下層農民達の思想がある。そこに宿って繋り拡がる史劇の原野がある。一たび疎外の極にとじこめられた者が、次々に縄抜けの業を秘得していくように、状況に対する何食わぬ身構えと、ひそかな優越が、歴史に対する生得的な体験としての弁証法を創り出す。
「本文」より
石牟礼 道子[イシムレ ミチコ]
著・文・その他
内容説明
御一新から十年、下野した西郷隆盛のもとに集結した士族たちが決起した西南戦争。その戦場となった九州の中南部で当時の噂や風説を知る古老たちの生の声に耳を傾け、支配権力の伝える歴史からは見えてこない庶民のしたたかな眼差しと文化を浮き彫りにする。百年というスケールでこの国の「根」の在処を探った、名作『苦海浄土』につらなる石牟礼文学の代表作。
著者等紹介
石牟礼道子[イシムレミチコ]
1927・3・11~2018・2・10。作家、詩人。熊本県生まれ。1940年、水俣町立実務学校に入学したことろから歌作と詩作を始める。60年、谷川雁が創刊した「サークル村」に『苦海浄土』初稿となる「奇病」を発表。69年「水俣病を告発する会」を結成し、患者と辛苦をともにする(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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