出版社内容情報
近代日本を代表する知性と、それを凌駕する純粋な魂。「社会化する私」から生の深淵へ、「内部の人間」を析出していく、初期評論集。「私はどこから来たのか」
心の内奥から発する根源的な問いを挟んで向き合う二つの精神
<内容紹介>
現実よりも自身の裸の心を守り抜こうとした詩人と、その世界に深く共感するがゆえに背反せざるをえない知性で武装された批評家――。「自分が人間であることのすべてを負っている」と言うほど絶対的な影響を受けた中原中也の特異な生の在り様を「内部の人間」と名付け、小林秀雄の戦後の歩みに「ヴァニティ」(中原中也)を超えた人間探究の軌跡を見出す、秋山駿の出発点。
井口時男「解説」より
中原と小林とは「同じ場所から出てきた」というところが秋山駿の独自の洞察である。つまり、小林がボードレールに託して「自意識の球体」と呼んだこともある「内部」を、秋山は「誰の存在の底にも口を開いている、人間のもっとも根本的な底部、いわば生存の基体となるもの」へと、存在論的な磁場へと、引き寄せるのだ。
小林秀雄
小林秀雄の戦後
自己回復のドラマ──小林秀雄の一面──
小林秀雄の「神」
小林秀雄と文体──彼はわれわれのなかの、どこにいるか
中原中也
中原中也
内部の人間──中原中也の場合
中原中也の詩
小林秀雄と中原中也 ──あとがきにかえて
解説 井口時男
年譜
著書目録
秋山 駿[アキヤマ シュン]
著・文・その他
内容説明
現実よりも自身の裸の心を守り抜こうとした詩人と、その世界に深く共感するがゆえに背反せざるをえない知性で武装された批評家―。「自分が人間であることのすべてを負っている」と言うほど絶対的な影響を受けた中原中也の特異な生の在り様を「内部の人間」と名付け、小林秀雄の戦後の歩みに「ヴァニティ」(中原中也)を超えた人間探究の軌跡を見出す、秋山駿の出発点。
目次
小林秀雄(小林秀雄の戦後;自己回復のドラマ―小林秀雄の一面;小林秀雄の「神」;小林秀雄と文体―彼はわれわれのなかの、どこにいるか)
中原中也(中原中也;内部の人間―中原中也の場合;中原中也の詩)
小林秀雄と中原中也―あとがきにかえて
著者等紹介
秋山駿[アキヤマシュン]
1930・4・23~2013・10・2。文芸評論家。東京生まれ。早稲田大学文学部仏文科卒業。1956年から報知新聞社文化部のち整理部に勤務。60年、「小林秀雄」で群像新人文学賞評論部門受賞。67年、中原中也や小松川女高生殺し事件を論じた第一評論集『内部の人間』を刊行。70年、報知新聞社退社。70年代より東京農工大他の大学で文学を講じながら現代人の孤独な生の営為を特異な視点から追究する批評活動を展開。90年、『人生の検証』で伊藤整文学賞を、96年『信長』で野間文芸賞、毎日出版文化賞を受賞。97年、日本芸術院会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。