出版社内容情報
大寺さんが結婚して一緒に暮らし始めた新居は東京郊外の藁葺き屋敷の二階だった。やがて大寺さんと同僚たちはヨーロッパへと旅立つ。一体、何を考えているのかしらん?
日日の暮らしや旅の時間のなかで
触れ合う人や自然の表情の懐かしさ
戦時中に結婚して初めて一緒に住んだ大きな藁屋根の家、そして戦後に疎開先から戻って住み込んだかつての飛行機工場の工員寮を舞台に、大寺さん連作のうちでも若かりし日にあたる三作と、恩師である谷崎精二を囲む文学者の交流と彼らの風貌を髣髴とさせる「竹の会」、アルプス・チロルや英国の小都市を訪れた際の出来事を肩肘張らぬ筆致で描いて印象深い佳品が揃う短篇集。
佐々木 敦「解説」より
小沼丹らしいのは、(中略)小説の幕切れとして、恩師の死を知らされて谷崎宅へと向かう途中、駅の「プラットフォオム」の外れから見える短い路を行き過ぎる見知らぬ人々を、ぼんやりと、だが凝っと見ている描写が置かれていることだ。「短い路に姿を見せては直ぐに消えてしまう通行人が、此方のそのときの気分に似つかわしい感じがしたのはどう云う訳かと思う」。この奇妙な感慨は、小沼丹という作家にとって「想い出す」という行為/作業の持つ意味と、その本質をよく表していると思う。
藁屋根
眼鏡
竹の会
沈丁花
キュウタイ
ザンクト・アントン
湖畔の町
ラグビイの先生
解説 佐々木 敦
年譜 中村 明
著書目録 中村 明
小沼 丹[オヌマ タン]
著・文・その他
内容説明
戦時中に結婚して初めて一緒に住んだ大きな藁屋根の家、そして戦後に疎開先から戻って住み込んだかつての飛行機工場の工員寮が舞台の、大寺さん連作のうちでも若かりし日にあたる三作と、恩師である谷崎精二を囲む文学者の交流と彼らの風貌を髣髴とさせる「竹の会」、アルプス・チロルや英国の小都市を訪れた際の出来事を肩肘張らぬ筆致で描いて印象深い佳品が揃う短篇集。
著者等紹介
小沼丹[オヌマタン]
1918・9・9~1996・11・8。小説家。東京生まれ。1942年、早稲田大学を繰り上げ卒業。井伏鱒二を知り師事する。高校教員を経て、58年より早稲田大学英文科教授。70年、『懐中時計』で読売文学賞。75年、『椋鳥日記』で平林たい子文学賞。89年、日本芸術院会員となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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