出版社内容情報
台湾に暮らした日本女性の愛の手紙・日記。70年の時を経て甦る、二人の女性その愛の人生。渾身の純文学長篇小説。台湾に暮らした日本女性の愛の日記。
七十余年の時を経て甦る二人の女性の人生。
思わず海を振り返り、つぶやく――
海に戻りたい。
わたしは死なない、わたしは生き続ける。
父のように母のように。
津島佑子渾身の純文学長篇小説、初文庫化。
津島 佑子[ツシマ ユウコ]
著・文・その他
内容説明
台湾に暮らした日本女性の愛の日記。七十余年の時を経て甦る二人の女性の人生。思わず海を振り返り、つぶやく―海に戻りたい。わたしは死なない。わたしは生きつづける。母のように父のように。津島佑子渾身の純文学長篇小説、初文庫化。
著者等紹介
津島佑子[ツシマユウコ]
1947・3・30~2016・2・18。小説家。東京生まれ。白百合女子大学英文科卒。在学中より「文芸首都」同人となり習作を始める。二十代で短篇が相次いで芥川賞候補となる。以後、1976年、『葎の母』で田村俊子賞、78年、『寵児』で女流文学賞、83年、「黙市」で川端康成文学賞、87年、『夜の光に追われて』で読売文学賞、98年、『火の山―山猿記』で谷崎潤一郎賞と野間文芸賞、2002年、『笑いオオカミ』で大佛次郎賞、05年、『ナラ・レポート』で芸術選奨文部科学大臣賞と紫式部文学賞、12年、『黄金の夢の歌』で毎日芸術賞他、数々の文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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翔亀
47
小説には読むべき時というものもあるのかと思う。老親の病床で深夜半ば眠りながら、通う道すがらなどに、本書を少しずつ読んだりすると、津島さんが語る物語に託した生と死への眼差し、親と子の死別、とりわけ(この作家とは切り離せない)幼子を亡くした母親の気持ちが増幅して伝わってくる。例えば1930年は老親の生まれた頃だったとか、男親の薄情の裏に隠されたものだとか極私的感慨はさておき、占領下の台湾を舞台にした新婚夫婦の性愛物語でありながら、高砂族(台湾先住民族)の日本政府による虐殺が絡んできて、濃厚な死のイメージに覆↓2016/12/04
たまご
9
現代(この作品の書かれた時代)と1930年代前半の主に台湾とを行き来する物語.1930年代に生きるミーチャが思いのほか現代的で,読み進めやすいです.2016/12/23
真琴
3
下巻へ。2024/03/05
バーベナ
3
1930年代外地だった台湾に嫁いだ美世(ミーチャ)とその姪茉莉子(リーリー)。二人とも日本人。ミーチャの手紙に出てくる『エロ』の文字が新鮮。でも、なんだかどんどん落胆がひどくなってきて辛い。現代のリーリーも途方にくれながら台湾を旅する。どうなってしまうのか、彼女たちの生命力に引き摺られてなんとか読み進む。2019/01/23
渡邊利道
3
2008年刊行。一九三十年代初頭。パリ帰りで台湾に住みデュルケームの翻訳などをする若学者に、年上の出戻り女が義母の反対を押し切って後添えとして入り、子を為すがしだいに気持ちが離れていき、という伯母の人生を、残された手紙と日記から想像する二十一世紀の子どもを失った中年女性の語り。伯母の物語はまるで大時代的なメロドラマであり(背景には重い歴史的事実がある)、現代の語りはエキゾティシズムがはなやかで平明な文学的技巧であっさり美しく描かれる。歴史上の死者とこの「私」にふりかかる死の対比から生み出される断絶と共感。2017/04/17
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