出版社内容情報
創作期間わずか数年で夭逝した天才作家。ハンセン病の極限状況で執筆された傑作群と、川端康成との書簡等から、その魂の軌跡を辿る当時は不治の病とされたハンセン病の診断を受け、19歳で療養所での隔離生活を余儀なくされた北條民雄。入院後に本格的に創作活動を始め、川端康成から高い評価を受けた北條は、闘病体験に基づく傑作小説「間木老人」「いのちの初夜」(文學界賞受賞、芥川賞候補)「癩院受胎」「癩家族」などを次々に発表、昭和初期の文学界に衝撃を与えた。23歳で夭逝するまで、創作期間はわずか数年。病の進行と死に直面する極限状況の中、生の根源を小説に刻みつけた作品群は、文学史に比類ない鮮烈で壮絶な頂を成している。北條のすべての小説(完成作品)を中心に、川端康成や中村光夫と交わした数多くの書簡、一部の未完小説と随筆を収録。孤高の天才作家の、魂の軌跡を辿る。
小説
いのちの初夜
間木老人
癩院受胎
吹雪の産声
癩家族
望郷歌
道化芝居
青春の天刑病者達
癩を病む青年達
掌編・童話
童貞記
白痴
戯画
月日
可愛いポール
すみれ
随筆
癩院記録
続癩院記録
発病
発病した頃
猫料理
眼帯記
柊の垣のうちから
烙印をおされて
書簡
川端康成との往復書簡(九十通)
中村光夫宛(六通)
五十嵐正宛(一通)
東條耿一宛(四通)
光岡良二宛(一通)
森信子宛(一通)
小林茂宛(五通)
解説 若松英輔
年譜 計盛達也
北條 民雄[ホウジョウ タミオ]
著・文・その他
内容説明
ハンセン(癩)病院で重病者の姿に慄然とした主人公は、生命を根源から問う壮絶な一夜を過ごす(「いのちの初夜」)。当時は不治とされたハンセン病を一八歳で発病した著者は、夭逝するまでの数年間に、「間木老人」「癩院受胎」「癩家族」などを次々に発表、文学界に衝撃を与えた。その作品群と、彼を高く評価し支え続けた川端康成らとの書簡を収録。死に直面する極限状況で創作と格闘した天才の、魂の軌跡。
著者等紹介
北條民雄[ホウジョウタミオ]
1914・9・22~1937・12・5。小説家。陸軍経理部の父の赴任地だった京城で生まれ、両親の郷里の徳島県那賀郡で育つ。高等小学校を卒業後、14歳で上京、日本橋の薬品問屋に住み込みで働きながら、法政中学夜間部などで学ぶ。18歳でハンセン病(癩病)発病の診断を受け、数ヵ月前に結婚した親戚の娘と破婚、東京府北多摩郡の全生病院で療養生活に入る。入院中の20歳、小説「間木老人」を川端康成に送り、高い評価と激励を受け、「文學界」に掲載される。結核を患い23歳で死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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