講談社文芸文庫<br> その言葉を/暴力の舟/三つ目の鯰

電子版価格
¥1,826
  • 電書あり

講談社文芸文庫
その言葉を/暴力の舟/三つ目の鯰

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 359p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784062902519
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報

70年代の大学生「僕」が語る思想、暴力、そして「言葉」。本年度谷崎賞受賞作家の出発点を示す、瑞々しい最初期三部作。東京で三年ぶりに再会した、
故郷の俊才の変わり果てた姿「その言葉を」。
他人の怒りと攻撃性を誘発せずにはおかない、
風変わりな先輩との四年間「暴力の舟」。
父の葬式で一堂に会した親族たちの、
幼い頃は窺い知れなかったそれぞれの事情「三つ目の鯰」。
七〇年代の青春の一光景を映し出す、瑞々しい初期中篇三作。

その言葉を
暴力の舟
三つ目の鯰
著者から読者へ
年譜
著書目録


奥泉 光[オクイズミ ヒカル]
著・文・その他

内容説明

東京で三年ぶりに再会した、故郷の俊才の変わり果てた姿「その言葉を」。他人の怒りと攻撃性を誘発せずにはおかない、風変わりな先輩との四年間「暴力の舟」。父の葬式で一堂に会した親族たちの、幼い頃は窺い知れなかったそれぞれの事情「三つ目の鯰」。七〇年代の青春の一光景を映し出す、瑞々しい初期中篇三作。

著者等紹介

奥泉光[オクイズミヒカル]
1956・2・6~。小説家。山形県生まれ。国際基督教大学教養学部人文科学科卒。同大学院博士前期課程修了。現在、近畿大学教授。1986年「地の鳥 天の魚群」がすばる文学賞最終候補となる。93年『ノヴァーリスの引用』で野間文芸新人賞、瞠目反・文学賞、94年『石の来歴』で芥川賞、2009年『神器―軍艦「橿原」殺人事件』で野間文芸賞、14年『東京自叙伝』で谷崎潤一郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

りー

32
収録三編とも子供が大人になるためのイニシエーションが描かれており、それぞれに印象的な人物を主役に据え、その人物に縁のある若者が語り手を務めるというスタンダードな私小説である。悪く言えばよく見かける形式の小説であるにも関わらず、読後確かな手応えと余韻が感じられる。それは奥泉光の小説家としての技術の確かさと、語られる言葉の力強さ、そしてその言葉を通して迸り出ようとする形をもたない意思の奔流によるものではなかろうか。個人的には現代の作家でもっとも信頼できる筆力を持つと思っている奥泉光、相変わらずハズレが無い。2015/03/10

さき

29
★5:表題作3作収録の短編集。P38のこの文章、なかなか鋭い。『嘲笑されるのは辛いことかもしれないが、嘲笑する方にもそれなりの苦さはある。人が他人の無様を嘲笑するのは、自らもまた分かち持ちながら日頃ひた隠しにしている弱点を平気で晒して歩く奴の鈍感が憎いからでもあるのだ』 昔言われた言葉に「一生懸命頑張る姿がムカつく」というのがあった。その時は随分酷い言い様だと思い、だったらどうしろってんだ?などと憤ったものだが、今ならその真意よく分かる。 ⇒ 2017/11/01

みっちゃんondrums

15
書店で他の文庫本とともに購入時、レジの合計金額に「ん?」、レシートを見て「え?」、表紙の金額を二度見して「高っ!」。文庫本なのに1750円+税! たぶんあまり売れはしないだろう、しかし奥泉光ファンならば手を出すに違いないという目論見か。確かに十分その価値あり。センセエの芥川賞受賞前の、未読だった作品たちだもの。すでに完成されていた諧謔にあふれた長~い説明過多の、しかし絶対にそれでなければならない言葉を散りばめた文、センセエを思わせる70年代の大学生の主人公、まじめ過ぎて可笑しい人物たち、奥泉節を堪能した。2016/03/30

gu

11
一周回って敢えて言葉の力を愚直に信じてみる。それが苛立ちや嘲笑を引き起こしつつそれさえ突き抜けると奇蹟が起きる。奥泉光に若書きの瑞々しさや荒々しさは求めていないんだよなーと思っていたのは大きな間違いで、これまで読んだ中では最も好きな作品かもしれない。ガツンときたのは『暴力の舟』。いつまでも浸っていたいのは『三つ目の鯰』。田舎の風景描写が一々素晴らしい。錠念先輩にしても『新・地底旅行』の丙三郎にしても、思わず殴りたくなる人物を描くのがなぜこんなに上手いのか。2016/06/25

たっこ。

7
「その言葉を」のモチーフになっているジャズの演奏に似た、うねりまくる文章は気持ち悪くなるほどごてごてで(冠飾句と関係代名詞バリバリな昔のドイツ語読んでるみたいな)、でもそれが癖になる快感なのはワザだろうか。同作の飛楽、「暴力の舟」の錠念先輩の「うまくやっていけない」感じが実にいい。世の中にスムーズに溶け込んだりするのは苦手じゃないけど、それをとても嫌がってる自分が他方にいて、だからか、この話のみんなが、愛おしくて疎ましい。2015/05/01

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/8749210
  • ご注意事項