出版社内容情報
文学と哲学、個人と世界を繋いだ巨人埴谷雄高。その人となりと文学を、同時代を生きた友、敬慕する後輩が生き生きと綴るアンソロジー文学と哲学、個人と世界を繋いだ巨人埴谷雄高。その人となりと文学を、同時代を生きた友、敬慕する後輩が生き生きと綴るアンソロジー
講談社文芸文庫[コウダンシャブンゲイブンコ]
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内容説明
二十世紀を代表する小説家であり、思想家、批評家でもある埴谷雄高(一九〇九~九七)は、その哲学的、観念的作風から、しばしば「難解な作家」と評される。だが周囲の目に映るその姿は多面的で、人間味の溢れる実務家でもあった。屋根裏の哲学者、闇の住人、しゃべる人、聴く人、寛容の人…文学と哲学、個人と宇宙を繋いだ知の巨人を、同時代を生きた友、敬慕する後輩が生き生きと綴る。
目次
1(『死霊』成立の外的条件(荒正人)
熱を抜いて見る人(本多秋五)
復元能力について(平野謙) ほか)
2(「あさって会」の頃(中村真一郎)
埴谷さんの教え(杉浦明平)
精神的な父のような(高橋たか子) ほか)
3(影法師が踊る(大庭みな子)
九五年八月二日夜(中薗英助)
埴谷さんのこと(中野孝次) ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Happy Like a Honeybee
5
組織は生活の反映であり、そしてまさしく階級社会の反映である。埴谷雄高を回想する一冊。大御所たちが筆を取る。裏返せば、大御所たちにも影響を与えていた事実。リッケルト、ハイデッカー、カントに遡るだけの素養 か…。2015/09/06
ゆーいちろー
2
著作集月報、「群像」埴谷雄高追悼号、全集月報から集められた文章を纏めた悼詞集兼交遊録とでもいった趣の本。一つ一つの文章は短く、だからこそ実に72名もの人々が埴谷雄高という「一奇人」を語っている。さて、この一冊を読んでまず想起するのは、おそらく埴谷雄高が文壇的な組織に属していた最後の人だったのであろうということ。明治から昭和初期の文壇と戦後派の、ある種の仲間意識に基づいた集団を同じに捉えてよいかは一考を要するが、時に理想を共にし、時に論争するこの文学者仲間という共同体は現在ではもう失われた風習に思える。2016/05/28
いのふみ
2
埴谷さんは良くも悪くも「変人」(そういう書名の回想録もある)だと思っていた。そういうのも好き。この本を読むと、その実、まめで、慎ましやかな生活者で、友人思いのこころの暖かい人なのだと思った。そういうのも好き。2015/05/16
たんかともま
1
埴谷雄高も人、俗人だったのだと感じる一冊。それと同時に、色んな作家の試し読みもできる。優しい、先生と呼ばれると否定した、よくしゃべる、よくきく、批評眼、病気、など繰り返し色んな人が指摘する部分と、その人しか知らないであろう一面が書かれているため、多面的に埴谷雄高のことを知れる。こんなたくさんの人から慕われていたのか、と思う。埴谷雄高でなく般若豊を知れた印象。もちろん作品を語っている人も一定数おり、難解ではない派と読めない派がいるのが面白い。ありえた形でなく、ありうべき形を書く、宇宙、観念的、抽象的な修飾。2019/03/11
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