講談社文芸文庫<br> 「私小説」を読む

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講談社文芸文庫
「私小説」を読む

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  • サイズ 文庫判/ページ数 333p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784062902342
  • NDC分類 910.26
  • Cコード C0195

出版社内容情報

志賀直哉、藤枝静男、安岡章太郎を、伝統的な私小説批判でも再評価でもなく、「書かれつつある言葉」として読み解いていく刺激的論考志賀直哉、藤枝静男、安岡章太郎を貫く「私小説」の系譜。だが、著者はここで日本文学の一分野を改めて顕揚したり、再定義を下したりはしない。本書は、我々が無意識・無前提に受け入れている「読みの不自由さ」から離れ、ひたすら、いまここにある言葉を読むこと、「作品」の表層にある言葉の群との戯れを通じ、一瞬ごとの現在を生きようとする試みなのである。「読むこと」の深見と凄みを示す、文芸批評の名著。

はじめに 読むことに向けて
廃棄される偶数 志賀直哉『暗夜行路』を読む
藤枝静男論 分岐と彷徨
安岡章太郎論 風景と変容
おわりに
あとがき
著者から読者へ
年譜


蓮實 重彦[ハスミ シゲヒコ]
著・文・その他

内容説明

志賀直哉、藤枝静男、安岡章太郎を貫く「私小説」の系譜―。だが、著者はここで日本文学の一分野を改めて顕揚したり、再定義を下したりはしない。本書は、我々が無意識・無前提に受け入れている「読みの不自由さ」から離れ、ひたすら、いま、ここにある言葉を読むこと、「作品」の表層にある言葉の群との戯れを通じ、一瞬ごとの現在を生きようとする試みなのである。「読むこと」の深みと凄味を示す、文芸批評の名著。

目次

廃棄される偶数―志賀直哉『暗夜行路』を読む(構造=主題=系列;偶数性の圏域;双極的世界と反復)
藤枝静男論―分岐と彷徨(大地隆起、そして陥没;恥辱と嫌悪、そしてその平坦な舞台装置;家系、妻、そして芸術;分岐するものたち;奪われる言葉たち)
安岡章太郎論―風景と変容(回避と遭遇の背理;中間層の彷徨者たち;作品=作家=文学;『流離譚』を読む)

著者等紹介

蓮實重彦[ハスミシゲヒコ]
1936・4・29~。フランス文学者、映画批評家。東京都生まれ。東京大学仏文学科卒業。パリ大学にて博士号取得。東京大学教授を経て、東京大学第26代総長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

佐島楓

50
安岡章太郎氏の作品解読の参考に。2017/05/03

しゅん

16
再読。志賀直哉、藤枝静男、安岡章太郎の三作家を批評する。以前読んだ時は全然ピンと来なくて試しに安岡の小説を4冊、藤枝の小説を1冊読んでから臨んだ。すると、特に安岡の論がスムーズに頭に入っていき、蓮實の文章が対象を知っている人間に向けている趣が強いことを理解した。安岡の小説では彷徨と定着の二項が無効になるなんてまさに読みながら感じていたことだ。この時期の蓮實は、とにかく「作者」を疑って「作品」を読めという倫理をどこまでも前に出すが、おそらく江藤淳あたりを仮想敵に据えていたがための時代的必然だろう。2022/09/17

Z

11
読み返したが、前回に比べ読解力アップした訳ではなく、特に語ることもないが、作品論として『暗夜行路』作家論として藤枝国雄と安岡章太郎を取り上げた文章の3つが収められた本で、作家論では反復がキーワードと言っていいと思うが、著者が繰り返し反芻するテーマやモチーフを取り上げ、作品論でみせせた、作品で書かれた文章をベースに思わぬ テーマを拾い、一貫した論理で作品を読んでいく過程は書かれた作品以上にスリリング(あえて言うなら作品以上の批評になったところが欠点か)。夏目漱石論が文庫で出てたが買おうか迷う。2017/07/23

Z

9
蓮実重彦氏の著作は何作か読んだが、何がいいのかわからなかったが、この本を読んで初めてこの人のすごいと思った。おそらく文学作品の記号論的読解というのが、ここで著者がしていることだと思うが、詩小説三作(著者が書くように、この本は詩小説論ではない)を高い/低い等、二項対立を持ってきて格子を色々あてはめ、その意味や機能をどんどん解読していく手つきは鮮やかかつ、鮮やかすぎて、こんなん真似できないと落ち込むほど。いつかこんな風に小説読めたらいいなぁと、すごい読み手はここまで読むかと一つ頭に入れてもいいかと思った。2017/01/30

まふ

5
志賀直哉論、藤枝静男論、安岡正太郎論の3部からなる。藤枝の世界は「隆起と陥没」「恥辱と嫌悪」「家計、妻」「分岐(川=木=家系)」等によって特徴づけられ、正当な(?)「私小説」とは異なり虚実の入り混じった世界であり、「空気頭」で顕著化されている。安岡章太郎は「海辺の光景」「幕が下りてから」「月は東に」の三大長編、その他の短編もすべてが同じ基本構造で成り立つ。父親の存在希薄、母親のべたべた感をベースに、抽象と現実、距離と密着、不在と現存、彷徨と定着等のいずれかでもない独自の安岡ワールドであるということらしい。2020/08/19

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