講談社文芸文庫<br> ロッテルダムの灯

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講談社文芸文庫
ロッテルダムの灯

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  • サイズ 文庫判/ページ数 214p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784062901994
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C0195

出版社内容情報

戦地における命あるものの美しさと儚さ

児童文学の大家である著者が、従軍した際の経験をまとめた名随筆集。弟の庄野潤三をして「英ちゃんのいちばんの名作」と言わしめた。

作家・庄野潤三の兄で、数多くの児童文学作品を世に残した著者が、従軍した中国や東南アジアで胸に刻まれた命あるものの美しさ、尊さ、儚さを、異国情緒をまじえて綴った初めての随筆集。
戦中の思い出と戦後の日本、欧州とが絡まり、作者自らが「何よりも愛着深い作品」と述懐したエッセイストクラブ賞受賞の名作。

庄野 英二[ショウノ エイジ]
著・文・その他

内容説明

作家・庄野潤三の兄で、数多くの児童文学作品を世に残した著者が、従軍した中国や東南アジアで胸に刻まれた今あるものの美しさ、尊さ、儚さを、異国情緒をまじえて綴った初めての随筆集。戦中の思い出と戦後の日本、欧州とが絡まり、作者自らが「何よりも愛着深い作品」と述懐したエッセイストクラブ賞受賞の名作。

目次

ロッテルダムの灯
ホークス酒場
クリスマス・キャロル
母のこと
松花江
カーネーション
椿
美校出の兵隊
菜の花
サンパギータ〔ほか〕

著者等紹介

庄野英二[ショウノエイジ]
1915・11・10~1993・11・26。児童文学者。小説家。山口生まれ。すぐに大阪へ引越し、帝塚山学院へ入る。関西学院卒。1937年入営。39年以降、旧満州、ジャワ、ビルマなどを転々とし、終戦時にレンパン島で抑留。復員後、帝塚山学院の教師を勤めながら執筆。55年、初の童話集『こどものデッキ』、60年、初エッセイ『ロッテルダムの灯』(エッセイストクラブ賞受賞)刊行。64年、『星の牧場』で日本児童文学者協会賞、産経児童出版文化賞、野間児童文芸賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ホースケ

11
カーネーションの紅、カトレアの紫、茉莉花の白、いくつもの花の色彩が鮮やかに再現されるばかりか芳しい香りまでもが漂ってくるよう。児童文学者である著者の文章は、戦中戦後の過酷な時代の体験の中に異国情緒と静かな哀しみをたたえ、さながら美しい絵本を読んでいるような感覚にさせられる。とりわけ『松花江』が素晴らしい。視覚、聴覚を研ぎ澄ませ、その光景を想像すると一枚の美しい画が出来上がる。また『バラ』の老婆と花屑のロマンティックな使い道の対比も面白い。『母のこと』『ダンクウェル』『短い手紙』もそれぞれ印象深い作品だった2019/09/28

つーさま

7
先の全く見えない暗い時代にあって、決して冷静さを失うことなく、戦地で出会う見知らぬ人々にも温かく接する著者の姿に思わず目頭が熱くなった。彼は花が好きだったようで、随筆集の小タイトルにも花の名前がついたものが多い。どんなに戦況が厳しくなろうとも、花を愛でる気持ちを忘れることはなく、遠い記憶の、それも至る所に一輪の花が咲く。慣れない従軍生活で傷ついた心を癒すように、そして微笑むように。もしかすると著者の瑞々しい感性は花を見ることで養われたのかもしれない。(続)2013/07/27

ぱせり

6
もし戦争がなかったら、どれも、みんな、身の回りにある当たり前の風景だったはず。それらは、こんなにも美しいものだったのか。儚いものだったのか。油断をすれば、あっというまに手からすり抜けていってしまうほどに。周囲から色が消えれば消えるほど、小さな差し色が心に残る。命が軽く扱われるほど、小さな命の尊さが迫ってくる。2022/05/31

きりぱい

6
戦場や兵営での辛い話でもあるというのに、自然の鮮やかな色彩をイメージさせ、南国の様々な花の香りが漂ってくるような、とても穏やかに品のあるエッセイだった。戦争で亡くなった者たちを悼む気持ちと同時に、戦争というものを悲しむ心持ちがしんと伝わってくる。自身も絵をたしなむせいか、妙に美術学校出身の兵隊が気になる「美校出の兵隊」や、戦犯に問われる緊張が安堵に代わる「はり絵」、赤十字条約にもかかわらず撃沈された阿波丸事件にかかわる「阿波丸の乗客」、軍規と人情とのはざまに揺れる俘虜とのやり取り「ダンクウェル」が印象的。2013/08/28

ウイロウ

3
潤三の方が有名だが、次兄の英二も児童文学を中心に多くの著作を残している。本書は主に作者自身の従軍経験にまつわるエッセイを編んだもの。その文章はあくまで美しく、中国大陸や蘭印・仏印のエキゾチックな風物描写と相まって、読者にむしろ郷愁を覚えさせる。その反面、戦争や軍隊の本当に残酷な面は注意深く避けられており、そこに童話作家らしい資質がよく表れているとも言えようか。しかし最後の「短い手紙」だけは異色。インドネシア系オランダ人の少年を主人公とするこの物語で、日本兵は恐怖の対象として初めて外側から描かれるのである。2013/12/18

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