出版社内容情報
茂吉の短歌と人間と全力で格闘した不朽の名作。太平洋戦争下に書きつがれた第一級の文学評論にして、感動的な「抵抗」の書でもある。茂吉の短歌と人間と全力で格闘した不朽の名作。
太平洋戦争下に書きつがれた第一級の文学評論にして、感動的な「抵抗」の書でもある。
※本書は『斎藤茂吉ノオト』新版(筑摩書房、1943年刊。初版は1941年)に『中野重治選集7』(筑摩書房、1948年刊)の「はしがき」を加えたもので、『斎藤茂吉ノート』(ちくま学芸文庫、1995年刊)を底本といたしました。
中野 重治[ナカノ シゲハル]
著・文・その他
内容説明
治安維持法違反で投獄された中野は「転向」を表明して出獄の後も、当局による監視の中、書きつづける道を選ぶ。開戦前夜、昭和一五年から一六年に書きつがれた本書は、歌壇の巨人、国家暴力、自らの人生と文学に向き合い、逡巡しながらも格闘しつづけた、魂の記録でもある。時代の激流に翻弄され、本質を見失いがちな、いまこそ読まれるべき文学評論の白眉。
目次
斎藤茂吉ノート(ノートをとる資格;茂吉にたいする理解;茂吉にあるわかりにくいもの;二つの青春;抽象的思惟行為における抒情;女人にかかわる歌のうち;戦争吟;茂吉の「白秋の歌一首」;短歌写生の説;個の問題;宗教的ということ;ヨーロッパと耳と;疑問的疑問一、二)
鑑賞と批評と―杉浦翠子の「斎藤茂吉論」および土屋文明の「斎藤茂吉論」についての断片
『柿本人麿』評釈篇巻之上紹介
茂吉断片
はにかみの弁―加藤将之氏へ答え
訂正その他
著者等紹介
中野重治[ナカノシゲハル]
1902・1・25~1979・8・24。小説家。評論家。詩人。福井県の生れ。中野鈴子は妹。1919年旧制四高入学。24年東京帝大独文科入学。この頃室生犀星と親交を結ぶ。26年堀辰雄らと「驢馬」創刊、「夜明け前のさよなら」ほか発表。「プロレタリア芸術」、ナップ機関誌「戦旗」創刊。31年共産党入党。32年逮捕、獄中で肺結核となり転向、34年5月出所。『むらぎも』で毎日出版文化賞、『甲乙丙丁』で野間文芸賞受賞。64年共産党除名(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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