出版社内容情報
知られざる傑作
安部公房を生んだ幻の名作
大正13年3月、不世出の作家・安部公房生誕の二週間後に刊行された、実母ヨリミによる生涯唯一の小説。恋愛に至上の喜びを見いだす男女五人の愛憎劇は、やがて人間の本質へ迫るドラマへと一変していく。瑞々しい感性と深い洞察力、簡潔で凛乎たる文章――資料的重要性もさることながら、文学性の極めて高い、21世紀の今、さらなる輝きを放つ、幻の名作。
私達の胎内の子供は大きくなって行った。私はそれを思って恐怖に捕えられた。私にはもっともっと、静かな二人の生活がほしかった。しかし、彼は心から三人になる事を喜んでくれた。(略)子供の愛が霧のように私を包む頃には大正十二年も暮れようとしていた。/来年は私達の赤んぼの出来る年だ。/来年は私達の本の出来る年だ。/私達は嘗て春を待った心持で来年を待ち、物思いの無い、希望に輝いた年を、私達の此の小さな家で迎えた。――<「跋」より>
※本書は、1924年3月異端社刊『スフィンクスは笑ふ』を底本としました。
安部 ヨリミ[アベ ヨリミ]
著・文・その他
内容説明
大正一三年三月、不世出の作家・安部公房生誕の二週間後に刊行された、実母ヨリミによる生涯唯一の小説。恋愛に至上の喜びを見いだす男女五人の愛憎劇は、やがて人間の本質へ迫るドラマへと一変していく。瑞々しい感性と深い洞察力、簡潔で凛乎たる文章―資料的重要性もさることながら、文学性の極めて高い、二一世紀の今、さらなる輝きを放つ、幻の名作。
著者等紹介
安部ヨリミ[アベヨリミ]
1899・7・25~1990・7・28。北海道東鷹栖村(現・旭川市東鷹栖)生まれ。東京女子高等師範学校(現・お茶の水女子大学)で国文学を学ぶも、在学中に伊藤野枝、山川菊栄らが結成した社会主義の婦人団体「赤瀾会」のビラを学内に提示し、退学となる。1923年に同郷の医師安部浅吉(1898年生まれ)と結婚、翌24年、公房を出産する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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藤月はな(灯れ松明の火)
梅村
まゆき
myung
龍國竣/リュウゴク




