講談社文芸文庫<br> 朱を奪うもの

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講談社文芸文庫
朱を奪うもの

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  • サイズ 文庫判/ページ数 221p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784062900645
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

女性としての喪失感に荒寥とした思いをする主人公。幼時から祖母の物語の世界に生きた滋子の人生の歩みは、やがて青春期にかけて、家を出て自立したいという強い思いへと変っていく。結婚さえも、人生のスプリングボードとして考え、自分らしく生きようとする女性を描いた、円地文子の代表作。谷崎賞受賞作『朱を奪うもの』三部作の第一部。

著者等紹介

円地文子[エンチフミコ]
1905・10・2~1986・11・14。小説家、劇作家。東京浅草生れ。本名富美。国語学者の家に生れ、幼時より古典に親しむ。読本、歌舞伎など江戸文学にも造詣が深い。小山内薫に師事。戯曲集『惜春』刊。のち小説に転じ、「ひもじい月日」で女流文学者賞。著書に『女坂』(野間文芸賞)『なまみこ物語』(女流文学賞)『朱を奪うもの』(谷崎潤一郎賞)『遊魂』(日本文学大賞)など。芸術院会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

こばまり

49
血の匂いがしそうな禍々しい書き出しについ引き込まれたが、どうしよう、主人公含め誰のことも好きになれない。心理描写と情景描写があまりにも見事なのでつい読み進めてしまったが、これが三部作の第一作に過ぎぬと知り、思わずンガと鼻が鳴る。どうしよう、いけ好かないのに夢中だ。2016/08/29

ケイティ

29
初の円地文子作品。冒頭から漂う妖艶さに魅了されて、するすると引き込まれる。親を亡くし、インテリな伯父に引き取られ裕福な生活を送る滋子だが、常にここではないどこかへ、というこもった熱を持て余す。左翼活動の戯曲を書いたり、妻子持ちの男性と投げやりに関係を持ったりするが、気高い自意識とそれを俯瞰している冷めた目線。滋子から漏れ出る生々しさ、心の機微の描写が素晴らしくて、この文章の波に身を任せたくなる。切なくもしたたかに、女性として内面的に自立していこうとする滋子が愛おしく感じた。続きも気になる。2024/10/29

こうすけ

26
2023年読み納め。円地文子の自伝的小説で、三部作の第一部。裕福な家に生まれ、親を失い、劇作家として左翼運動に片足を突っ込み、妻子のある男と恋とも呼べないものに落ちていく女。女性の自立を、全然説教くさくない形で描き、ぐいぐい読ませる。要所要所の省略が冴え渡り、面白い。一気に読んでしまった。彼女は一体どんな戯曲を書いているのだろうか。第二部が早く読みたい。2023/12/31

amanon

3
主人公が最後の歯を抜かれた上に、すでに片方の乳房と生殖器を失っているという現実と直面する冒頭部分にはかなり度肝を抜かれた。ここだけ読むと主人公はさぞかし陰惨極まりない反省を送ってきたのだろうと思いきや、順風満帆とまではいわないまでも、それなりに裕福な家庭で殆ど何不自由なく過ごしている。このギャップに惹きつけられるようにして読み進めた。主人公滋子の狡猾さ、計算高さとは裏腹の危うさや幼さまたどこか浮世離れしたところな何とも言えず魅力的に思えた。2009/12/16

ダージリン

2
円地文子を読むのは初めてで、中上健次がエッセイ集で採り上げていたのを見たのがきっかけ。内容もさることながら、文章力の高さが際立っている印象。自伝的作品でもあるとのことだが、三部作の一作目ということで、この先がどうなるのかと思わせるところで終わってしまう。どこか陰鬱に窮屈に生きる主人公が、冷たい視線のままこの先生きていくのか、何かしらの自由を得て変わっていくのか、この先が楽しみになる。2018/06/01

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