内容説明
アフリカ、中近東、ヴェトナムでの戦場体験を結晶化した表題作を中心に、過酷な状況を生き抜く兵士の内面の虚無を見つめた「兵士の報酬」、三日間の「正月休戦」に対岸のヴェトコン村へちっぽけな楽団でくり出す米兵士たちの様子を描いた「岸辺の祭り」、戦火の中の庶民のユーモラスな姿を綴る「洗面器の唄」、以上戦争小説四篇に、川端賞受賞作「玉、砕ける」を併録。“行動する作家”の珠玉の短篇集。
著者等紹介
開高健[カイコウタケシ]
1930年12月30日~1989年12月9日。小説家。大阪生まれ。父の死により様々なアルバイトで一家の生活を支えつつ、1953年、大阪市立大学卒業。54年、寿屋(現サントリー)宣伝課に入り、名コピーを送り出すとともに「洋酒天国」等を編集。57年、「パニック」を発表し、一躍注目される。58年、「裸の王様」で芥川賞受賞。60年、中国を訪問し、以降、東欧、中東等、世界各地を廻ることとなる。64年、特派員としてヴェトナム戦争の最前線に立つ。この時の体験が『ベトナム戦記』、『輝ける闇』(毎日出版文化賞)に結実。その後も行動派作家として数多くのルポルタージュを書く。79年、「玉、砕ける」で川端賞受賞。81年、ルポルタージュ文学の成果により菊池寛賞受賞。87年、『耳の物語』で日本文学大賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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あかふく
2
アルバム『輝ける闇』からのシングルカット曲を集めたシングル・コレクション。2013/04/22
tatakuma
1
不潔と悪臭への耐性に開高は優れていたんだなぁと感心しました。『輝ける闇』の圧倒はなかったけど、描写に開高の実感が滲んでいる所がよかったです。2017/06/22
アキ
1
戦争に倦んだ人たちの物語。作者の描写は精緻をきわめるが、だからこそ文学の限界を感じてしまう。百聞は一見にしかず。2016/04/03
むーん
0
「岸辺の祭り」「洗面器の唄」「玉、砕ける」が良かった。一昨年くらいに読んだ「輝ける闇」でもそうだったけど、開高健の、自分自身も死ぬ目に会っているのに敢えて戦場をただ見て感じるために行こうとするところが個人的に一番気になる。あと毎度のことながら文章の的確さ、鋭い観察力には脱帽です。2015/01/21
AR読書記録
0
生,性,死,そうしたものをそのまっただ中で,なんと真っ直ぐに,冷静に,観察していることだろうと思う.そしてその観察を通して,こちらは何を受け取ればよいのか... 人間ってたわいもないちっぽけなものさ,人の命なんて地球上で見たらあっという間に明滅する蛍の光のようなものなんだな,なんて,今の日本に身を置いてこの本を通してだけでそんなふうに思うのは,絶対に間違っているとは思う.今はこの著者だから覗き得た深淵を,わずかに感じさせてもらうのみ.角田光代さんの解説は大変有用.2011/10/02
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- 和書
- 学説・判例民法 〈下巻〉