内容説明
この手でお天道様を拵える、それが出来たら死んでもいい…若い花火師の野望と、権力に屈し筆を折った戯作者の苦い矜持が作り出す一瞬の美―知られざる名篇「京伝店の烟草入れ」。弾圧を躱し強かに生きた戯作者達の肖像を、地口、洒落等技巧の限りを尽して描く『戯作者銘々伝』より、式亭三馬、唐来参和等八篇。硬直した時代の価値観を強靭な笑いと反骨精神で痛撃、“昭和の戯作者”と称された作家の原点ともいうべき初期秀作集。
著者等紹介
井上ひさし[イノウエヒサシ]
1934・11・16~。小説家・劇作家。山形県生まれ。上智大学外国語学部フランス語学科卒。浅草フランス座文芸部を経て、戯曲・テレビ脚本で頭角をあらわす。70年代から小説にも手を染め、72年、「手鎖心中」で直木賞を受賞。以後、小説戯曲双方で話題作を発表、戯曲『しみじみ日本・乃木大将』『小林一茶』で紀伊國屋演劇賞、読売文学賞(戯曲部門)を、『吉里吉里人』で日本SF大賞、読売文学賞(小説部門)を、『腹鼓記』『不忠臣蔵』で吉川英治文学賞を、「シャンハイムーン」で谷崎潤一郎賞をそれぞれ受賞。84年より劇団「こまつ座」を主宰、87年、郷里山形県川西町に蔵書を寄贈して開館した「遅筆堂文庫」を拠点に「生活者大学校・農業講座」を開校する等、多方面に活動し、2001年、「知的かつ民衆的な現代史を総合する創作活動」で朝日賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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