出版社内容情報
大澤 真幸[オオサワ マサチ]
著・文・その他
目次
1 社会学の誕生―近代の自己意識として(古代の社会理論―アリストテレス;社会契約の思想―社会学前夜;社会科学の誕生 ほか)
2 社会の発見(フロイト―無意識の発見;デュルケーム―社会の発見;ジンメル―相互行為としての社会 ほか)
3 システムと意味(パーソンズ―機能主義の定式化;“意味”の社会学;意味構成的なシステムの理論―ルーマンとフーコー ほか)
著者等紹介
大澤真幸[オオサワマサチ]
1958年生まれの社会学者。東京大学大学院社会学研究科博士課程修了。社会学博士。千葉大学助教授、京都大学教授を歴任する。著書に『ナショナリズムの由来』(講談社、毎日出版文化賞)、『自由という牢獄』(岩波書店、河合隼雄学芸賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ひろき@巨人の肩
149
社会学とは「本物の教養」であると納得した名著。社会学の巨匠たちを時空を超えて大澤先生が繋ぎ、掴み所のない社会学の輪郭を描き出す。社会とは「コミュニケーション」と「家族」によって繋がる「人のネットワーク」だと理解した。日々のコミュニケーションは、本人にも他人にも無意識的に作用し痕跡を残す。その蓄積が生活や家族構成に影響し、やがて家族が集まる共同体・社会に社会秩序という意識が宿る。社会が巨大化し構造化すると、社会秩序が個人の無意識下に存在し個人の自由を束縛する。また社会秩序の非連続的な変化が個人を翻弄する。2021/10/16
佐島楓
83
読むのに四日ほどかかった(新書で600ページ超)が、満足度はとても高かった。社会学が哲学、史学、心理学、言語学、精神医学などの垣根を超えた内容にわたっていること、どのような学者がどのような論調で論じてきたかなどがかなり具体化されており、初学者の助けになるだろう。特に構造主義は私のなかで哲学に分類されていたのだけれど、なるほど社会学のくくりなのねと納得できたし、この本で紹介されている中では一番フーコーの読解が困難である気がした。時間をかけて読む価値がじゅうぶんにある本だった。2019/03/28
k5
64
社会秩序がいかにして可能かを問うのが社会学、という定義のもと、講義形式でそれぞれの社会学者のエッセンスを説明してくれる本で、読みやすく面白いです。とくにマルクスについての記述は、今まで読んだ概説書で一番腑に落ちたかも。ウェーバーはもちろん、デュルケームやジンメルについても読んでみたくなりました。20世紀後半以降はちょっと難解で、自分が社会学という学問の実体がよく掴めないなあ、と思うのもそのせいかもです。2020/06/19
ころこ
56
「なぜ社会はそう考えたのか」というのが本書のテーマです。Ⅰで、ホッブス、ロック、ルソーを比較した社会契約説と、そこからアダム・スミスに続く論点は、非常に明快な整理がされています。いずれ深く考えたかったこの論点は、哲学や政治哲学といった方がしっくりくるというように、本書は単なる社会学の歴史を追っていく本ではありません。Ⅱに、フロイトが登場します。ここで、フロイトの「無意識」を社会学的に解釈しています。デュルケームとの比較で、私の心の中で展開されている思考はある。他方で、私の思考なのに、私の外で生起しているよ2019/03/20
うえぽん
51
社会学史を、前史である古代の社会理論や社会契約説から、19世紀の社会科学の誕生と社会の発見、20世紀のシステムと意味の社会学、将来展望に至るまで、実講義を基に執筆。600頁以上の大著だが、話し言葉で書かれており、論旨も明快。社会秩序はいかにして可能かとの根源的問いに対し、社会学の各巨人が、個人に還元されない社会の本質をどう解し、それらの説の限界がどこにあるか、読者の理解を促す。複雑性を減少させるために機能分化したシステムが、統合性を失い機能不全に陥る状況を乗り越える秩序形成のあり方を考えるヒントにしたい。2025/01/27