講談社現代新書<br> ヒゲの日本近現代史

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講談社現代新書
ヒゲの日本近現代史

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  • サイズ 新書判/ページ数 242p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784062882170
  • NDC分類 383.5
  • Cコード C0221

出版社内容情報

ヒゲの流行は時代によって異なる。ときの権力によって左右されたヒゲのゆくえ。日本近代史の一端を映す鑑としてヒゲがあった。

当たり前のことですが、ヒゲは基本的に男性にしか生えません。ここ10年ぐらいでこそ、ヒゲのある/なしは、ファッションのひとつとしてみなされるようになりましたが、それこそ第二次世界大戦後の現代にあっても、ヒゲありはビジネスマナーに反すると認識されていました。さらに時代を遡れば、江戸時代中期に「大ヒゲ禁令」が出され、ヒゲありは幕府によって禁止されました。しかし、明治時代になると、一転してヒゲありが大流行し、欧米のさまざまな型(スタイル)が取り入れられていきます。だが大正時代になると、今度はヒゲなしが増え、日中戦争が始まると、またヒゲありが増え……、と、ヒゲのある/なしだけでも時代性を窺い知ることができるのです。
すなわち、ヒゲを蓄えることは男らしさや権威の象徴と考えられるわけですが、ある時代には公権力によってヒゲが禁止・抑制されたこと、またある時代には公権力自らが権力性を誇示するために利用したことなどを知ることで、ヒゲが時代を映す鑑とも考えられるのです。
ヒゲに見える興味深い日本近代史。

目次

プロローグ 前近代のヒゲ史概観
第1章 明治時代におけるヒゲ大流行と権力性
第2章 明治後期のヒゲ論―寺田四郎『ひげ』を中心に
第3章 『太陽』掲載写真にみる明治後期~大正初期のヒゲの様相
第4章 大正デモクラシーと流動化するヒゲ
第5章 軍国主義時代におけるヒゲの復活と実状
第6章 ヒゲの戦後史
第7章 ヒゲの現在

著者等紹介

阿部恒久[アベツネヒサ]
1948年生まれ。新潟大学人文学部卒業、早稲田大学大学院文学研究科博士課程修了。博士(文学)。現在、共立女子大学国際学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

壱萬弐仟縁

20
権威主義の象徴であるヒゲ。 攘夷から倒幕への展開と軌を一にしたヒゲへの解釈の変更。 ヒゲ=野卑(34頁)というイメージからの転換だ。 おそらく、欧米人の体格の良さに対抗する意味もあったかもしれない。 1911年(日韓併合の年)、寺田四郎『ひげ』がヒゲの本格的研究(59頁)。 明治はヒゲ隆盛であったようだ。 ヒゲが似合う人と似あわない人がいるのも確かだ。 2014/03/09

ヒュンフ

15
あまり見かけないテーマだったので楽しみにしていた。自分はオシャレ感覚で髭を生やしていて権力性や威厳を考えたことがなかったが、近年の感覚としては妥当でイチローの登場以降はヒゲがファッションになったのは体感と一致する。しかし若年者が生やしているのを生意気とし認めない企業は少なくない。女性は比較的寛容ではあるが、男女雇用機会均等法を推進していた女性やフェミニスト思想があるほど否定的という見解は納得できた。「米国では何故ヒゲ無しが当たり前になったのか?」の解はとてもアメリカらしく雑学として学べた。2022/04/05

たくのみ

5
江戸時代は無髭、それが明治では権威の象徴となり、戦後は抵抗の象徴となったヒゲ。「太陽」の写真の有髭率や映画、イラスト、雑誌など丹念に調査した労作。1.権力として 2.外国文化の影響 3.女性の目線 4.器具の発達、が髭の長さに影響したのだ、というのが結論。いまなら滑稽でしかない明治の髭も、チャートで見ると納得がいく。2013/08/05

かんがく

3
ヒゲに関する記述がたくさん。海外文化、権力のアピール、女性の視点など、ヒゲの有無、形状には様々な原因が存在するという。2015/12/22

CTC

3
小生、高校卒業以来ヒゲ(この本でいう髭と鬚。髯はない。)をはやして生きてきた。動機といえば海外のサッカー選手に憧れたかなぁ位にしか思い当たらないのだが、爾来ずっと蓄えたままだ。就職活動やらでは「動機」を問われ、「逆に何故?」と切り返し乗り越えてきたが(苦笑)、何か良い理論武装はないか?と常々思っていた(爆笑)!ヒゲを剃る習慣は第一次大戦時に、発明された安全カミソリが急速に広まったそうで。日本では、江戸期は禁止→欧米模倣→女子ウケ悪く→戦地ヒゲ→反動、そして清潔感あればの時代と。うん、全く理論武装できず。2015/07/23

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