出版社内容情報
民俗学研究会の調査旅行に参加した堤裕司らが訪れたのは静岡県中部の比良賀町。そこで裕司は片翼の天女・妃沙子に出会う……。
脚の故障でバスケ選手の道を断念した堤(つつみ)裕司(ゆうじ)は、幼馴染の里穂(りほ)に誘われ民俗学研究会の調査旅行に参加する。訪れたのは天女伝説が残る静岡県中部の田舎町、比良賀(ひらが)町。町の伝統行事「羽焚(はねた)き祭」に参加した夜、ひとりで町へ出た裕司は片翼の天女・妃沙子(ひさこ)に出会う。彼女は不思議な力で裕司の脚を治すが、一行が町を出る朝事件が起こる……。
内容説明
「あのな、俺もうここには来られない」―脚の故障でバスケ選手の道を断たれた堤裕司は、幼馴染の里穂に誘われ民俗学研究会の調査旅行に参加する。訪れたのは天津人(天女)伝説が残る静岡県中部の田舎町・比良賀町。町の伝統行事「羽焚き祭」に参加した夜、ひとり町へ出た裕司は片翼の天女・妃沙子に出会う。彼女は不思議な力で裕司の脚をもとどおりに治し、彼を喜ばせるが―。一行が町を去る朝、その事件は起こった。
著者等紹介
天原聖海[アマハラキヨミ]
1978年生まれ。静岡県出身。『ファイナリスト/M』にて第3回講談社BOX新人賞・流水大賞優秀賞を受賞し、デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ひめありす@灯れ松明の火
26
最恐伝奇ホラーという事で心して読みましたが、どちらかというとファンタジックなホラーという感じでした。青年と少女が出会った、ひと夏の出来事。副題をつけるなら『僕の夏休み~僕と姫神様と殺人事件~』という感じでしょうか。羽衣を奪われて契約ゆえに人を縛りつけようとする妃沙子と、自らの『欲』の為に妃沙子を縛りつけようとしている村の人と。狭いコミュニティの『ムラ』という意識が強く感じられました。女の子はちゃんといたのにいつの間にかフェイドアウトしてしまい、あとに残っている妃沙子がやたらラムネに執着する姿か可愛い。2012/04/08
そのぼん
9
初めはファンタジックな雰囲気かと思って読んでいましたか、途中からホラー色も入った雰囲気になってきました。 いらゆる『ジャパニーズホラー』とも違う気がしましたが、昔の日本の雰囲気を取り入れている感じは楽しめました。2012/07/06
み~くま
2
帯には「最恐伝奇ホラー」と書かれていたのですが、ホラーというよりはいファンタジーという印象でした。片翼を奪われ、地上に縫いとめられてしまった「天津人」と、「欲」という名の檻に囚われ「心」を失くした人間たち。どちらがより恐ろしいかといえば、やはり「人間」のほうでしょうね。人間に騙され、裏切られ、恐ろしい陰謀の片棒を担がされても、人間にもらったラムネの空き瓶を宝物のように持ち歩き、なお人を信じる心を失くさない妃沙子。そんな妃沙子の姿が、とても愛おしくて、哀しくて、切なかったです(TωT)2012/02/11
ふじさん
1
「BOX-AiR」連載。「天津人」を祀り「羽焚き祭」の伝統が残る、山間の田舎町を舞台とした民族伝奇ホラー。恐ろしさや悍ましさといった要素は一部分にしか感じなかったが、怪奇のエッセンスを利かせた一種の青春小説として楽しめた。著者の既刊にあった冗長さは影を潜め、すっきり読み切れるのも美点と言える。若干の既視感を覚える箇所はありつつも、素直で熱のある展開に頁数以上の満足感があった。ただ、終盤に至って里穂の存在感が薄れてしまった点は少し残念。作品上大きな役割を持つ人物だったので、結末付近に言及があっても良かった。2012/02/07
キスイ
0
民俗学的なホラーみたいな感じ。ラノベっぽすぎる主人公が若干鼻につくのと里穂のエピソードがあっさりすぎるのが気になりました。こういう話は嫌いでないだけに少々残念。2012/09/20