内容説明
価格差別(グループ別の価格差別、自己選択型の価格差別、オマケ商法での価格差別、時間を通じての価格差別)。需要の価格弾力性。平均コスト、追加コスト、機会コスト、サンクコスト、取引コスト。規模の経済性、経験効果。囚人のジレンマ。付加価値。記号消費。サービスの稼働率。顧客情報と価格差別…。身近な価格のウラに隠れた驚きの戦略。
目次
第1章 オマケ商法は正しいビジネスのやり方なのか?
第2章 超人気の豪華RPGソフトの価格が暴落しやすいのはなぜ?
第3章 ゲーム機やテレビがどんどん高機能になって安くなるのはなぜ?
第4章 なぜ牛丼チェーンは過激な値下げ競争をやめられないのか?
第5章 同じゲームソフトの廉価版と中古品はどっちがお得?
第6章 Tシャツにブランドマークをつけるだけで高く売れるのはなぜ?
第7章 マクドナルドはなぜケータイで安売りを始めたのか?
第8章 ネットでいろいろなサービスが無料なのはなぜ?
著者等紹介
吉本佳生[ヨシモトヨシオ]
エコノミスト・著述家(元大学教員・元銀行員)。専門は金融経済論、生活経済学、国際金融論など。2009年よりNHKの経済教育番組「出社が楽しい経済学」の監修・出演(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
犬こ
23
「スタバではグランデを買え!」の吉本さん。彼の近々の著者は、気になるものはほぼ読んだため、2010年のちょっと前の本書を手にとってみたところ、これが分かりやすい。物の値段確定の有り様は、時代が変わっても根幹部は変わらないので、ひと昔まえの本も、充分ためになる情報が詰まっていることも。2017/02/01
Humbaba
9
値段を下げれば買ってくれる人は多くなるが,その分利益は下がる.利益を最大化するためには,高く買ってくれる人には高く,安くならないと購入しない人には安く売りたいところだが,そう簡単に価格差をつけることは出来ない.クーポンやポイントを使えば,相手の行動次第で値段差をつけられるので,利益を大きく出来る.2012/11/09
hk
8
これは簡潔明瞭さで定評のある吉本佳生さん面目躍如の一冊だ。昨今流行りのオマケつきCDが価格差別という手法を用いていることを噛み砕いて説明し、牛丼チェーンから火の手が上がり飲食業界にくまなく波及した廉売合戦の本質を囚人のジレンマという心理経済学の観点から敷衍……といった構成で読み進めるにつれて、おのずからミクロ経済の基礎知識が身に付くように創意工夫が行き届いている。中でも圧巻なのはプレステを例に挙げた規模の経済と平均コストの解説だ。プレステ1では基幹パーツである半導体を外注していたため、変動費のコスト削減が2016/04/26
たろう
4
この著者は経済の知識を身の回りの経済活動に落とし込むのがほんとに上手いな。常に経済的な視点をもって生活しているんだろう。有益な労働は稼ぎにくく曖昧な価値を提供するほうが儲かるという記述、無料ビジネスは実は縮小しつつあるのかもしれないという記述は目から鱗だった。2012/02/21
masa
3
いつもながら、この著者は経済学の(本当は)難しい話をわかりやすく説明する能力に非常に長けている。会話形式かつ日常的なテーマをベースに、読みやすく書かれているのですぐに読み終えてしまうが、実は適用範囲が広く、奥深い内容が多く、自分なりに一度立ち止まって考えてみることが必要。マクドナルドほか、様々な企業の価格戦略について研究してみたい。2013/08/13