内容説明
煽った国も銀行も借金で瀕死の市町村を見捨てていた!廃墟と化したリゾート施設、一括返済の恐怖に脅える市長、金融機関に訴えられた町、風呂にも入れない住民たち…NHK『クローズアップ現代』があぶり出した真実、プロデューサーが描く衝撃のノンフィクション。
目次
第1章 市町村を追いつめる恐るべき法律
第2章 「赤字第三セクター」という底なし沼
第3章 すべての悪夢はリゾート法から始まった
第4章 廃墟と借金の山が残されて
第5章 突然の返済要求を突きつけられた町
第6章 金融機関との果てしない交渉
第7章 「旗を振った」国の重大な責任
第8章 病院に蝕まれた瀕死の自治体
著者等紹介
伯野卓彦[ハクノタカヒコ]
1966年、神奈川県生まれ。89年、東京大学工学部計数工学科卒業、NHK入局。ディレクターとして『クローズアップ現代』『NHKスペシャル』『プロジェクトX挑戦者たち』の制作を担当。『プロジェクトX』デスク、『NHKスペシャル』専任ディレクター、『クローズアップ現代』チーフ・プロデューサーを経て、現在、編成局編成センター副部長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
手押し戦車
8
第三セクターは自治体の信用力と民間の柔軟性と増収意欲の双方の利点で成果を出すが実際はお互いの弱みの部分が発揮され自治体の無責任と先送りの体制と民間の業績不安定性を兼ね備え更に行政からの天下りが牛耳り運営費補助という生命維持装置で延命治療している。政府はリスクを避けるために損失補償契約で清算する時、借金を一括で金融機関に払わないと清算出来ない仕組が有る。市場は成果が出ないと強制退場だが第三セクターは市場原理や競争心が働かないので怠慢な経営になり税金を使い天下り機関を作り一部の人が膨大な退職金で利益を得ている2014/10/26
いっこう
6
面白かったー!図書館にあったけど、地方自治体の経営に関する本。2024/07/25
しんさん
5
「リテラシーのない発注者」と「スジの悪い自称専門家やコンサル」の組み合わせがとんでもない悲劇を生むのだなぁ、とあらためて。希望の光が見える終わり方で救われた。みんながんばろう。2022/09/25
ほーすけ
5
2007年~2009年にかけての取材に基づいたルポ。関わった多くの人間が口をつぐんでいると思うが、それでも自治体・国・経済界の三者が饗宴に与していく過程が良く分かる。バブルは終わっても清算は続き、負債額が大きいと合併もうまくいかず、病院等のライフラインも危うくなり、地方は疲弊し人も減るというスパイラルに落ちていく。これは過去の話ではない。形は違っても現在も繰り返されている話である。ミニバブルに付け入られないよう、肝に銘じなければ…。2013/11/11
やきそらまめ
5
流されないことの難しさ。組織の財布の紐を握るものは、常に細心で、情報に富み、かつ疑り深く、異論をいとわない強さがなくてはならない。地方自治体のみならず、福祉や公益など、地方自治体に近い組織に接する人間も一読の価値があると感じた。読みやすく、そして大変恐ろしい話。バブルって本当に異常な時代だったんだ。2011/10/04