出版社内容情報
門口で医者と親子が待っている
正直にお七ははえたと申しあげ
「いかなる時代の文学よりも、江戸文学に笑いの要素がつよいというのは」、それが明朗で、闊達で、あけすけな庶民の文学だからである。その江戸文学の中で、もっとも庶民的な、したがってもっともユーモアと風刺に富んだ文学は俳諧の落とし子の川柳である……セックスとても、その例外ではない。いや、それどころか、両性の協力によって成りたち、その性交によって存続している人生であるにもかかわらず、気どって、そしらぬ顔をしがちであるだけに、彼らは好んでその機微をさぐり、そのための喜びや悲しみやもだえを率直に指摘する。閨房の秘戯におよぶことも、しばしばである」(まえがき)。
西鶴研究の第一人者にして、江戸文芸の達人が道案内する古川柳、とりわけ下世話に通じた〈バレ句〉の世界。時代を越えた、庶民のしたたかな辛口のユーモアをご賞味あれ。
シリーズ《大人の本棚》
書評より:
小中陽太郎さん 週刊ポスト 2002.4.26
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暉峻康隆(てるおか・やすたか)著
1908年鹿児島県生まれ。1930年早稲田大学文学部国文科卒業。『江戸文学辞典』(1940)、『文学の系譜』(1941)、『近世文学評論』(1942)など、江戸文学を中心とした研究・評論を刊行する。1942年から78年まで早稲田大学文学部教員をつとめる。その間、1943年、37歳にして召集され、中国に送られた。復員後は教育・研究のみならず、ジャーナリズムの世界も含めた幅広い活動を続け、ベストセラーになった『スラング』(1957)や本書を出版する。80歳を過ぎても研究意欲十分で『日本人の愛と性』(1989)、『日の丸・君が代の成り立ち』(同)、『幽霊・めいど・いん・じゃぱん』(1991)などを刊行した。2001年4月、急逝。
谷脇理史(たにわき・まさちか)編・解説
1939年群馬県生まれ。現在、早稲田大学教授。著書に『西鶴研究序説』『西鶴 研究と批評』などがある。
内容説明
門口で医者と親子が待っている―人生の喜び・悲しみ・もだえから閨房の秘戯まで。江戸文芸の達人が粋に語る、庶民の闊達なユーモアと辛い風刺への道案内。
目次
お江戸の春
心中のなりたち
性の抑圧
性と掟
日陰の性
女の宿命
花嫁の条件
夫婦のいとなみ
老楽の性
神も人なり
庶民の偶像
迷える僧侶
英雄の正体
栄華の夢
寝物語
著者等紹介
暉峻康隆[テルオカヤスタカ]
明治41(1908)年鹿児島県志布志に生れる。平成13(2001)年没。早稲田大学文学部卒業。早稲田大学教授
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感想・レビュー
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