内容説明
光市母子殺害事件、オウムサリン事件、新宿西口バス放火事件、山梨幼児誘拐殺人事件など凶悪犯罪を起こした殺人犯―。なぜ安田好弘は、あえて死刑求刑被告人の弁護人として法廷に立つのか?「加害者もまた弱者である」の言葉を胸に被告人の人間性に迫り、でっち上げの自白強要に証拠の隠滅など、暴走する検察との戦いを赤裸々に語る、刑事裁判の真実。
目次
序章 光市母子殺害事件
第1章 山谷からの出発
第2章 一九八〇年―三人の死刑求刑
第3章 冤罪証明
第4章 闘争の残影
第5章 オウム裁判
著者等紹介
安田好弘[ヤスダヨシヒロ]
1947年、兵庫県に生まれる。弁護士。一橋大学法学部卒業。一貫して死刑廃止を訴え、オウム真理教の麻原彰晃、山口県光市の母子殺害事件の犯人らを弁護する。また、耐震偽装事件のヒューザー元社長・小嶋進ら、世論にサンドバッグのように叩かれている人物の弁護もし、日本の裁判制度の基盤を支えようとしている。オウム真理教の裁判にからんで、自分自身も強制執行妨害容疑で逮捕されるが、一審で無罪となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Ikuto Nagura
5
藤井誠二『殺された側の論理』と合わせて読み、光市母子殺人事件の被害者と加害者それぞれの主張に触れる。この事件で、安田は大きく批判された。本書を読んでも、荒唐無稽な主張に何とも嫌な気持ちになる。だが、加害者の弁護士という安田の立場を考えれば、死刑回避のためにあらゆる策を立てて戦うことは、むしろ当然の仕事だと気づく。警察や検察(恐ろしいことに裁判所)も、メディアも、それに流される世論も、全てが加害者を厳罰にしようとする中、たったひとりで肩入れする人。どんな犯罪者にも敬称をはずさない信念。かっこいいじゃないか。2015/06/12
えんさん(연싼)@読書メーター
4
光市母子殺害事件や、オウム真理教教祖などを起こしたとされる殺人犯の弁護を務めてきた弁護士、安田好弘の検察との闘いを安田自身が書いた一冊。 「加害者もまた弱者である」 彼が凶悪事件を起こした人たちを見る度に思うそうだ。実際、この本で取り上げられている被告人たちは全て身体や精神、もしくは貧困など何かしら困難を抱えている。裁判では検察がつけこんだように証拠を捏造し、厳しい取調べで反論できないようにする。結局、裁判とは被告人のために存在していないのでは?と思ってしまうほど、この本は現在の司法を生々しく伝えていた。2015/01/20
ゆっこ09
3
途中で挫折。2018/08/26
てっしー
2
いろんな意味で考えさせられる…。この人の情熱は尊敬に値する。確かに、その弁護手法で物議を醸すことを多くした人ではあるが。ただ、この人は実際に接しているのだ、光市事件の被告や、麻原被告と。我々は、マスコミから流れる情報からしか知る由もないが。2008/06/19
ゆりーた
2
長かったけれど、いろいろ勉強になった。2008/10/01