感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
マーブル
12
大樹だとばかり思っていたものは、異なる様々な木々の集まる林のようなものだった。その厚み。そのバリエーション。 ギリシア神話に物語性を求めて手に取ると失望を感じるかもしれない。辞書のように使用されることが想定される構成のため、物語を読むような楽しみには欠ける。繰り返し、順を追わず登場する逸話や異名で語られる神々。作者によって異なる解釈の列挙。ゆえに感情で読もうとすると、読み続けるに苦痛が伴う。しかし、だからこそ気づく神話の成り立ちの不思議。物語の裏にあるものの気配。 2021/10/06
roughfractus02
11
カオスを制御しコスモスを作り出さんとする人間営為は、自然に依存する狩猟採集民の母系制の神々の信仰から、秩序によって社会を作り人と自然を統御する男系制の神々の信仰への転換を要する。神話での男性の神々と女性の神々との恋愛や結婚はこの過程の擬人化であり、古代史的には都市国家による小コミュニティの征服の比喩とされる。そんな人間中心の政治社会史の側の解釈に対して、著者はカオスとコスモスの境界を行き来するトリックスターたちを配し、地中海を渡り、古代エジプトや他の宗教神話がギリシャの神々の名や性格に息づく点を強調する。2021/09/03
aaboo
1
ハデスとペルセポネとデメテルの話が面白かった。2018/07/16
トイ
1
ギリシア神話好きには必見。なにが面白いってまず項目別にそれぞれ出てきてくれるからこういう学術書の中では格段にわかりやすいし、なおかつ翻訳も自然。また、凄いのは異説を含めた多様な物語を紹介してくれることや、名前の由来の説明を余すところなくしてくれるところ。2014/02/02
eckhart88
1
その筋で有名なケレーニィ先生、のギリシア神話本、神々の説明を正統的なものから異端的なものまで多様なものを典拠を示しつつ羅列して、独特の神話観をちょっぴりスパイスに加えた感じ。入門書としてはどうだろうか、という感じだがちょっとかじったものが読むと、異説の豊富さから想像力が刺激されて中々楽しい。パラス・アテナの異名とその由来だけで10ページ以上割いてくれるというのだからたまらない。2013/04/15