出版社内容情報
天下人をどう扱い天皇は戦国に生き残ったか最初のキリシタン禁令を出した正親町天皇。それを無視し、キリスト教の布教を認めた織田信長。天皇と天下人は互いを利用し、どう目的を達成したか明らかにする。
内容説明
天下布武を目指す信長と正親町天皇の虚々実々の駆け引きとは。本能寺の変後、権力を掌握し、朝鮮出兵に続き皇居の北京移転まで決めた秀吉を後陽成天皇はどう思い止まらせようとしたか。家康・秀忠の強権に悲憤慷慨した後水尾天皇の胸中など、日記、宸翰の史料を駆使し、天下人と対峙した天皇の実像を克明に描く。
目次
プロローグ―正親町天皇のキリシタン禁令
第1章 義昭・信長の入京
第2章 正親町天皇と信長
第3章 天下人秀吉の誕生
第4章 後陽成天皇と朝鮮出兵
第5章 後陽成・後水尾天皇と家康
エピローグ―「権現」か「明神」か
著者等紹介
藤井讓治[フジイジョウジ]
1947年生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程修了。現在、京都大学大学院教授。専攻は日本近世政治史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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KAZOO
19
信長、秀吉、家康の時代の天皇についてはかなり影が薄いと思っています。後水尾天皇については、別の本で読んでいてかなり存在感はあるのですが、それ以外の天皇についてこの本を読んで理解できました。やはりかなり当時の権力者へ気を使っていたことがわかります。権力者の歴史が表ならこの時代の裏(天皇)の歴史の物語をどなたか書いてくれませんかねえ。2014/08/08
MUNEKAZ
6
三英傑と天皇・朝廷の関係を追った一冊。己を官職体系に取り込もうとする朝廷とは距離を置いた信長から、摂関家の相論を奇禍として自ら朝廷機構に飛び込み暴れまわった秀吉、そして詰将棋のごとく朝廷側を幕府の法度で縛り付けていく家康と三者三様な対応は面白い。最後まで自分と天皇の立ち位置を決められなかった信長から思うと、将軍職を戴きながらも朝廷に対し上位者として振る舞う家康はなかなかのもの。また秀吉の唐入りを止めにかかる後陽成天皇を見ると、平和主義というよりは本気で都から出たくなかったのだろうなと思える。2018/02/28
ma3
5
統一政権期での天皇・朝廷の振る舞いがよくわかる一冊でした。秀吉の朝鮮出兵にやんわりと反対する天皇。それを聞く気がない秀吉。この両者の関係が当時の天皇の位置を示しているようだ。家康の時代になった時には、さらに家康の掌で転がされるところまで追いつめられる。天皇・朝廷が弱いというより、家康の政治力のすごさに改めて圧倒される。2012/02/18
クローバー
4
信長、秀吉、家康と正親町天皇、後陽成天皇、後水尾天皇のそれぞれの関係性について、進上物、下賜物に関する史料の記述を当たりながら考察した1冊である。結論的には、「天皇は時の天下人に自分の意思を表明するものの、天下人が決定権を持ち、天皇は追認する(本書では「調える」という表現が使われている)という関係が成り立っていた」ということが言えよう。2014/02/09
たぬき
3
回転しつつ揺らぐ コマの軸2012/10/12