講談社文庫
パンとペン―社会主義者・堺利彦と「売文社」の闘い

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  • サイズ 文庫判/ページ数 634p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784062776615
  • NDC分類 289.1
  • Cコード C0195

出版社内容情報

20世紀初頭、社会主義への激しい弾圧の中、同志に仕事と居場所を与えるため、堺利彦は「売文社」を立ち上げる。読売文学賞。遺作。

20世紀初頭、社会主義への激しい弾圧の中、同志に仕事と居場所を与えるため、堺利彦は「売文社」を立ち上げる。読売文学賞。遺作。

内容説明

親友・幸徳秋水らが処刑された大逆事件後の弾圧の時代、堺利彦は「売文社」を立ち上げる。手紙や借金依頼の代筆から翻訳まで、あらゆる売文業を請け負い、窮地の同志に仕事と居場所を与えたのだ。不屈とユーモアの精神で暗黒の時代を闘った堺の業績に光を当てる、著者の人生を締め括る傑作!読売文学賞受賞。

目次

序章 一九一〇年、絶望のなかに活路を求めて
第1章 文士・堺枯川
第2章 日露戦争と非戦論
第3章 “理想郷”としての平民社
第4章 「冬の時代」前夜
第5章 大逆事件
第6章 売文社創業
第7章 『へちまの花』
第8章 多彩な出版活動
第9章 高畠素之との対立から解散へ
終章 一九二三年、そして一九三三年の死

著者等紹介

黒岩比佐子[クロイワヒサコ]
1958年東京都生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。ノンフィクション作家。『「食道楽」の人 村井弦斎』で第26回サントリー学芸賞、『編集者国木田独歩の時代』で第6回角川財団学芸賞、『パンとペン―社会主義者・堺利彦と「売文社」の闘い』で第62回読売文学賞を受賞。2010年11月17日逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ネムル

15
幸徳秋水や大杉栄はその闘いのなかで死ぬ(殺される)ことによって英雄視される。一方、別件で勾留されていたため大逆事件を逃れ、結局畳の上で死んだ堺利彦については地味なイメージしかなかった。だが社会主義運動冬の時代を生き延び、周りの仲間を生かし続けた堺の生涯もまたカッコいい!日本初の編集・翻訳プロダクションの売文社、また獄中の手記に楽天囚人と署名するあたり、反骨のユーモリストという側面がよくわかる。初めて堺利彦を意識したのは、山村修が「切れば血とユーモアの噴き出る文章」として紹介していたことによるが、2017/02/17

Ikuto Nagura

5
日本社会主義勃興期の厳しい思想弾圧下での堺利彦の活動を追う評伝。私の中での堺は、日和見主義的で、幸徳秋水や大杉栄のような非業な死を遂げた急進的革命家の影に隠れてしまうイメージだった。だが、大逆事件後の社会主義冬の時代に、運動の火を消さないための同志救済の場として売文社を起こし維持した上で、「人を信ずれば友を得、人を疑へば敵を作る」信念の下、日本革命に向け社会主義者の共同戦線を張らんとする姿は、なんとも魅力的な革命家であった。そして、日本一のユーモリストを自認する作家としての堺のペンは、それ以上に魅力的だ。2015/11/12

プリン

4
著者の絶筆となった本書は、日本の初期社会主義者として知られる堺利彦の評伝。大逆事件後の「冬の時代」における売文社に焦点を合わせています。著者が歴史学プロパーではないため、日本におけるマルクス主義思想の受容などの思想史的な叙述は少なく、政治思想に関心を持つ人には物足りなさが残るものの、一方で堺の人間味あふれる生き方は十二分に感じられます。かくいう私は院生時代にまさにこの初期社会主義の研究をしていたため、『へちまの花』や『新社会』の内容を記憶の中から呼び覚ましながら、当時の思い出とともに読みふけった次第です。2013/12/07

iwasabi47

3
大逆事件とその後堺が興した『売文社』の話。堺のカリスマあってこそかな。苦味とユーモラス。2021/03/08

emitaku

3
堺氏を衝き動かしていたのは、主義や思想ではなく、すべての人が安全に、安心して暮らせる世の中をつくりたいという節なる思いだったのだろう。厳しい弾圧の下で苦闘しながらも、ユーモアを忘れず、人を思い、地に足をつけて一日一日を刻んでいった彼の人生を、これから先もことあるごとに思いかえすにちがいない。平易な文章を旨とした文筆家、出版人、翻訳家としての彼に、敬慕の念を覚えずにはいられない。2014/05/06

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