内容説明
都内に住む老人が自宅で惨殺された。奇妙なことに、遺体は舌を切断され、心臓をズタズタに抉られていた。さらに、縁の下からは「不離怨願、あたご様、五郎子」と記された呪術符が見つかる。なぜ老人はかくも強い怨念を受けたのか?日本の因習に絡む、恐るべき真相が眼前に広がる!第57回江戸川乱歩賞受賞作。
著者等紹介
川瀬七緒[カワセナナオ]
1970年、福島県生まれ。文化服装学院服装科・デザイン専攻科卒。服飾デザイン会社に就職し、子供服デザイナーに。デザインのかたわら2007年から小説の創作活動に入り、’10年第56回江戸川乱歩賞の最終候補に選ばれる。’11年、同賞二度目の応募作『よろずのことに気をつけよ』で第57回江戸川乱歩賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんたろー
189
法医昆虫学捜査官シリーズを読み進める前にタイトルが秀逸なデビュー作を…「これが乱歩賞受賞?」と言うのが正直な感想…ハードルが上がり過ぎていたのもあるだろうが、呪術のおどろおどろしさと現実の殺人事件が融合しているとは思えないのが難点。被害者の哀しく苦しい心情が全て後からの推察なのと、長い歳月の忍耐があったのに結局は殺害に及んだ犯人の心変わりが疑問なのも残念。主人公の仲澤&真由の関係も中途半端なままなのも惜しい。それでも、民間伝承や因習を面白く読ませてくれたし、会話センスも悪くなかったのが授賞理由なのだろう。2019/12/28
KAZOO
144
川瀬さんの法医昆虫学シリーズを読んでいて、結構楽しめたので江戸川乱歩賞を受賞した初期の作品を手に取りました。私の好きなタイプの作品でした。三津田信三さんの作品を思い出しました。男女二人の主人公がその後シリーズ化された法医昆虫学シリーズのモデルとなっている感じがします。最後の結末も比較的私の好きな感じで終わってくれています。楽しめました。2018/11/27
nobby
127
読み友さんからのお薦めで読了。数十年前から想いを重ねられた呪術符を巡り、誠実で怨みを買うことなどあり得ない人物の影の真相を探る。念仏・風習・信仰など固いテーマを次々と交えながら不思議とページが進んだ印象。途中、病院・教会・鳥やらと変わった方向に行くかと思いきや、最後はぶれずに筋が通っている。明らかになった真実は伏線から予想出来るも何とも物哀しい。それにしても最後が怖い…眉間にシワ寄せながらも続きが気になり必死に読み終わった。2015/10/08
ひさか
118
第57回江戸川乱歩賞受賞作に加筆修正して、2011年8月講談社刊。2013年8月講談社文庫化。呪術を研究する文化人類学者が謎を追いかけるという辺りからして、わくわくする設定です。荒削りで冗長ながらも楽しめました。他の作品も読んで見ます。 2017/08/23
修一朗
114
こういうのが好きなんだなきっと。面白かったです♪ 祈祷念仏から派生した呪術をモチーフにしたミステリー。呪いの謎を民俗学が少しずつ明らかにしていくオカルト色少な目のサスペンス。テンポ良い会話の文章も秀逸で、それでもってあっちこっちと動かされて、クライマックスまで緊迫感継続でした。あとがきで元ネタになった念仏の原文を見て、これを見て小説のプロットが出来上がっちゃうの、とそっち方面の能力に感心。犯行に至るまでの経緯や真由のキャラ形成など粗い部分はあるものの、ぞくぞくする展開が最後まで味わえて満足。さて次作へ…2015/01/01
-
- 洋書
- Cape Cod Fun