講談社文庫<br> プールの底に眠る

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講談社文庫
プールの底に眠る

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  • サイズ 文庫判/ページ数 338p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784062775021
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報

あの初恋から13年、「殺人」の罪を背負った若者が、陽炎のように儚い一週間の思い出をたどる。傑作恋愛ミステリー。

夏の終わり、僕は裏山で「セミ」に出逢った。木の上で首にロープを巻き、自殺しようとしていた少女。彼女は、それでもとても美しかった。陽炎のように儚い1週間の中で、僕は彼女に恋をする。
あれから13年……。僕は彼女の思い出をたどっている。「殺人」の罪を背負い、留置場の中で――。誰もが持つ、切なくも愛おしい記憶が鮮やかに蘇る。

――「プールの底から何が見える?」という好奇心から石川県へ。金沢21世紀美術館に「スイミング・プール」という体験型の作品があります。一見したところ普通のプールに見えるのですが、強化ガラスの上に約十センチの深さの水が張られているだけで、なんと、ガラスの下には部屋があるのです。
その部屋から水面を見上げると、上のプールサイドでこちらを覗き込んでいる揺らめく人影が見えます。水面の揺らぎに反射した日の光が溢れるプールの底で、この小説のイメージが湧きました。泳げない高校生のお話がふと。と言うのも、私が全く泳げないからです。猫と同じくらい水が苦手。
だからプールにはコンプレックスがあります。学校の水泳大会で泳げない生徒三人だけのビート板レースがあり、それは苦い思い出の一つ。プール・コンプレックスから小説が一つでき上がったからって、都合よく思い出が美化されません。今でも苦いまま。
そんな鬱積した気持ちが生んだ小説を読者がどう読むかは自由です。好きなように読んでください。ただ、ご存知のように小説はフィクションなので、作中にある迷惑行為を現実ですると、こっぴどく怒られます。そして回り回って私も怒られてしまうので、ご遠慮くださいませ。 (ノベルス新刊刊行時著者コメント)

内容説明

13年前の夏休み最終日、僕は「裏山」でロープを首に巻いた美少女を見つける。自殺を思いとどまった少女は、私の命をあなたに預けると一方的に告げた。それから7日間、ばらばらに存在する人や思いや過去が繋がりはじめた。結末は何処に?切なさと驚きに満ちた鮮烈デビュー作。第42回メフィスト賞受賞作。

著者等紹介

白河三兎[シラカワミト]
2009年『プールの底に眠る』(ノベルス版)で第42回メフィスト賞を受賞しデビュー。『私を知らないで』(集英社)が「本の雑誌」オリジナル文庫大賞BEST1に選ばれ話題になる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

❁かな❁

167
久々に白河三兎さんの作品読みました!白河さんの作品を読むのは4作目。今作でメフィスト賞受賞でデビュー*白河さんらしく青春&切なさ&ミステリーって感じ。13年前の夏に出逢った2人。その儚い7日間を回想する。いくつかの死もあり、セミとイルカ、マザと由利それぞれの関係からも目が離せずどうなるのかなと思いながら一気読み!美少女で年齢より大人びたセミの危うさとイルカの落ち着いた感じは「私を知らないで」を思い出しました。後半色々展開しラストはとても感動しました*うるうるです(;_;)すごく良かったです★新作が楽しみ♪2015/07/22

相田うえお

130
★★★★☆18029 イルカとセミの話。って、童話とか幼児書じゃないよ、イルカとセミというのは当時高校生だった青年と中学生女子が二人で呼び合うときの名前なんですよ。とても気持ちを揺すられるストーリーだったなぁ。でも、何処が?と言われても具体的に分からないんです。特に理由も見つからず、ただ漠然と「好きだなぁこういうの...」という気持ちだけが不思議と残っている様な、そんな読了感でした。年齢や男女の別も明かされていない謎の作家さんだけど、読了した4作品すべてよかった〜!というわけで他の作品も気になります。2018/04/11

文庫フリーク@灯れ松明の火

123
恋愛小説は大の苦手ですが、さすがメフィスト賞受賞作。留置場で、13年前の夏出逢った少女との7日間を辿る序章「過去へ」からぐいぐい引き込まれる。高校最後の夏、裏山で出逢ったのは煙草を片手に、首にはロープを巻いて木の枝に立つ綺麗な少女。彼女は僕をイルカと呼び、僕は彼女をセミと呼ぶ。大人びた彼女は、実は5歳年下の中1。恋をしないセミと泳げないイルカ。不慮の事故で双子の弟を失った僕・イルカは7日目にセミをも失う。喪失感漂わせ、終章「未来へ」不良妊婦の「今度こそ禁煙!」の叫び。鮮やかに世界が裏返る。セミとの会話は→2014/07/23

黒瀬

118
裏山で首にロープを巻き、自殺を図ろうとしていた美少女(セミ)から「私の命をあなたに預ける」と告げられた少年(イルカ)の掛け替えのない七日間を三十路を迎えた主人公が振り返る物語。心を失っていくセミがイルカに遺したかったもの、忌々しい過去を清算したいイルカが救いたかった物・許しを請いたかった物の正体が物悲しく、人知れず共依存関係になっていったのかと考えると遣る瀬無い。巧妙に張り巡らされた伏線の回収も気持ち良く、13年越しの想いが結実した瞬間がただひたすらに眩しかった。2019/12/13

おかむー

93
既読の『私を知らないで』と同様の空気感を漂わせつつ、より心を掘り下げたこの作品、これがデビュー作ということに感心。『もうすこしです』。淡々と醒めた主人公・イルカと、美しくも心のからっぽなセミ、前半はセミと由利の対比やイルカの周囲との距離を描いた不思議な雰囲気を見せておいて、イルカの秘めたものにフォーカスがあたる後半、そして終章で抉られるような罪悪感と苦悩に、ほのかに叙述トリックを絡ませて救いのひかりが見えるラストは上質。ただ難をいうなら終盤の苦悩の描写はちょっとばかし理屈っぽく冗長な印象がぬぐえないかな?2014/04/05

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