講談社文庫<br> 吸涙鬼

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講談社文庫
吸涙鬼

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  • サイズ 文庫判/ページ数 330p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784062773706
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報

悲しみの涙を流す少女。彼はその生を願い、そっと瞳に唇を寄せた。不治の病を持つ少女と決して明かせない秘密をもつ少年の純愛小説。あまりにも美しく希有な、愛の奇蹟の物語。
市川拓司、純愛ファンタジーの傑作!
若い二人は死の諦念に対峙する。二人の昇華した愛は死ををのりこえられるか?

ゼロ年代を席捲した恋愛小説ブームの中心に位置する「いま、会いにゆきます」「恋愛寫眞 もうひとつの物語」「そのときは彼をよろしく」そして・・・・日本が感動の涙にふたたび溢れる!

あらすじ)
満月の夜、屋上庭園で意識を失ったところを冬馬に助けられた美紗は、翌日彼のコテージを訪ね、二十歳で死ぬ病気に罹っていることを冬馬に告白する。次第に体が弱り病室のベッドに伏せる美紗のもとを訪ねる冬馬。彼は美紗の病気を治すという――二人触れ合って、ともに生を願うという方法で。冬馬は悲しみの涙を吸い、生きるために願う。
夜を徹して続く妖しく甘美な治療。美紗と冬馬の愛は至上の高みに昇りつめる。
実は異能をもつ冬馬は、涙をすって生きる吸涙鬼の一族だった・・・。

著者メッセージ)
「この世界。この国に対する強烈な違和感。自分はなぜこうまでひとと違うのか? その虚構的解釈としての物語。
 なぜひとびとはこうも他者を否定することにやっきになっているのか。現実でも創作物の世界でも。否定すること。憎むこと。妬むこと。豊かさではなく乏しさを描いた世界。現実に目を向けるんだといいながら、彼らは負の心をむさぼります。
 『吸涙鬼』は、彼らではなく我々の物語です。愛とは生きて欲しいと強く願うこと。肯定し、受容し、赦し、そして生かす、育む。情熱と官能。熱を帯びた感傷。死と再生。吸涙鬼という存在に与えた体質の多くは、現実にぼく自身が背負っている業のようなものです。そして彼が愛する少女の個性はぼくの妻から。水と火の邂逅。陰と陽。生まれる遥か前から惹かれ合うことが約束されていたふたり。
 この小説は、ぼくの仲間への呼びかけ、我々はここにいるぞという、ささやかなる烽火でもあります。もしかしたら、あなた自身が吸涙鬼なのかもしれないのです。」

プロローグ
第一部
第二部
第三部
第四部
第五部
エピローグ


市川 拓司[イチカワ タクジ]
著・文・その他

内容説明

満月の夜に忍び込んだ学校の屋上庭園で意識を失ってしまった美紗は、奇妙だが不思議な魅力を放つ転校生・冬馬に助けられた。翌日、美紗は彼の住む家を訪れて不治の病いを打ち明ける。一生に一度だけの恋を冬馬に抱く美紗。しかし、冬馬は誰にも明かせぬ秘密の存在―涙を吸って生きる吸涙鬼の一族だった。

著者等紹介

市川拓司[イチカワタクジ]
1962年東京都生まれ。『いま、会いにゆきます』は映画化され、100万部を突破するベストセラーに(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

dr2006

42
涙も血液から作られ滲むものだ。だから「吸涙鬼」が求める涙も人の中に通う熱い血である。市川さんの作品は久し振りに読んだが、負の領域を攻めるファンタジーは独特で期待通りだった。主人公の美紗は遺伝的な病で余命短く虚弱だ。ある日高校の屋上庭園で作業中に倒れた美紗は、転校してきたばかりの冬馬に助けられる。冬馬はクラスに馴染むことなく、達観したように暴力に無抵抗で、人を避けるようにしている。そんな謎めいた冬馬に美紗は強く惹かれていくのだが、彼は人の涙を…。高純度の恋愛には代償がある。そう簡単にカタルシスは得られない。2021/02/10

36
前に読んだ市川作品が良かったので今度も期待しすぎてしまった為、う~ん・・って感じでした。確かに涙を誘う展開だし、市川ワールド全開のやさしさ、愛にあふれたストーリーではありますが、途中から洋画のトワイライトみたいになってやしまいか?と思ったり。(ラストは違いましたが。)何とかどうにかして、2人で幸せになる結末は迎えられないものかと考えてしまいましたが、たぶん作者が言いたいのはそういうのじゃなく、無条件に自分を犠牲にしても大切な人に生きてほしいと願うこととなんだろうなぁ。2014/06/20

Walhalla

35
「吸血鬼」ならぬ、「吸涙鬼」と人間の恋物語を描いた作品でした。市川拓司さんの作品の中でもファンタジーの要素が濃い方だと思いますが、著者の作品の独特な雰囲気と美しい描写によって、物語がすっと入ってきますね。切ないお話しでしたが、優しさを感じる作品でした。2020/10/22

suna

32
作者の優しくてきれいな文章が好きです。とても純粋な二人がお互いを想うけど一緒にはいられない。。。ハッピーエンドではなく切ない話でした。最後はちょっとジーンとしました。市川さんの作品は優しくて切ないストーリーが多いですね。2013/12/07

なないろ

30
市川作品らしいとてもキレイな物語。他の誰でもない“ぼくら”と呼べる相手を恋愛として探しているんだろうなと感じます。どうか2人で幸せになって欲しいと願う私にとっては、ハッピーエンドとはよべないラスト。だけど、相手の幸せを心から願うことこそが愛することだとも感じます。とても哀しく優しい空気が流れていく1冊。確かな愛があったからこそ美しく幻想的な世界を味わえました。2015/01/07

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