出版社内容情報
地蔵の見守る弥次郎兵衛長屋はお上に立ち退きを迫られていた。行き場のない住人たちが育てていた拾われ子のお染が誰かにさらわれ!?
大火にも遭わず火除け地蔵として、本所深川の長屋の住人たちや火消したちに大事にされている地蔵。物言わぬが住人たちのことをやさしく見てきた地蔵の視点で、物語は進む。誰かを待っている、だからこの長屋から出られない、そんな住人たちは、破落戸たちを使い理不尽な立ち退きを迫る町名主たちに、精一杯の抵抗をするが……文庫書下ろし時代小説。
内容説明
長男一家が行方知れずの富蔵夫婦、暴力夫から逃れてきたお静…深川の弥次郎兵衛長屋の火除け地蔵は、そんな住人たちを見守っていた。ところが一帯を火除け地にしたいお上は破落戸どもを使って立ち退きを迫ってきた。物言えぬ地蔵が引っ越せないみんなを心配する、人情シリーズ第一作。
著者等紹介
楠木誠一郎[クスノキセイイチロウ]
1960年福岡県生まれ。日本大学法学部卒業。出版社勤務を経て、’96年『十二階の柩』(講談社ノベルス)でデビュー。’99年『名探偵夏目漱石の事件簿』(廣済堂出版)で日本文芸家クラブ大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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新地学@児童書病発動中
84
長屋のお地蔵様が語り手になるユニークな時代小説。火除け地にするため、長屋の住人達はお上から退去を命じられる。やむを得ない理由によって、長屋を出ていけない住人達は一致団結して、お上の立ち退き工作と闘う。お上を敵に回して、長屋に籠城する三話が面白い。文章は歯切れが良くて、読みやすかった。登場人物たちもしっかり書き分けられている。この種の書下ろし文庫の時代小説の中では面白い方だと思う。2015/01/25
momi
4
長屋の井戸脇に立つ、当たり前だけど全く動けないお地蔵さんが語り手となり、話が進行していく。このお地蔵さん、長屋の住人に体を洗われると、気持ちがいいだの、痛いだの、くすぐったいだの、独り言を言う。もちろん住人には聞こえない。そこが、おかしくて可愛い…。この作者さん、歴史・時代小説の世界で活躍されてる方なんですね~。さすが、面白いです!2012/10/02
ぜん
3
火除け地蔵が立つ長屋の住人達、立ち退きを迫られるが離れるわけにはいかないので…。 語り部が地蔵のため、このあとどう展開するんだろうという点でも面白く読めました。 話はまだまだ途中のようなので続刊が楽しみです。2012/06/01
sai
1
火除け地蔵が置かれている長屋が、立ち退きを命じられて事件が起きるのだが解決することなく続く…?う~ん、動けない地蔵目線だからか長屋住民たちのことは表面だけをさらっとなぞりました…って感じ!解説はやたら褒めまくっていたが、ちょっと違うよなぁ~って突っ込みいれたくなった(爆)2作目って出版されたの?2013/11/30
なおり
0
結局お地蔵さんって祈っても功徳なし?2013/07/21
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