出版社内容情報
老中田沼意次と、狂歌師太田南畝。二人の武士の苦悩と葛藤を、企業小説の名手ならではの視点で描いた、著者初の歴史時代小説。
老中田沼意次と、狂歌師太田南畝。二人の武士の苦悩と葛藤を、企業小説の名手ならではの視点で描いた、著者初の歴史時代小説。
内容説明
飢饉や大地震が続き、危機的な経済状況にある天明期の江戸幕府。足軽の子と蔑まれつつ、経済手腕を買われて老中に出世した田沼意次と、借財に喘ぐ下級武士でありながら、狂歌師として、自由な「サラリーマン」生活を謳歌する大田南畝。二人の生き様から、企業人としての武士の懊悩を描いた、本格時代小説。
著者等紹介
高任和夫[タカトウカズオ]
1946年宮城県生まれ。東北大学法学部卒業。三井物産入社。’85年に『商社審査部25時』を発表。以降、作家とサラリーマンの二足のわらじを履き続ける。’96年、50歳を機に依願退職、作家活動に専念(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
T2y@
20
“老中と狂歌師” 賄賂で悪名高き 田沼意次。名家出身でない身で、幕政改革を推進し過ぎた事から、バッシングを受け、スキャンダラスに後世も語り継がれる結果に...この説を元に書かれた時代小説。 旧態依然の中で改革を進める難しさ、孤独、本当の恐ろしさ。全体に冗長だが深い読了感。2014/10/03
シン
5
ふだんあまり読むことのない田沼意次や天明期のことが描かれていて面白かったです。松平定信がいなければ、幕府主体の維新が実現したかもしれませんね。意次の重商主義政策から定信の重農主義政策への揺り戻しへの批判的な意味も込めて作者は「江戸幕府 最後の改革」と銘打ったのだと思いました。定信の信奉する儒教の商い蔑視や身分差の重視はことごとく田沼意次に抵抗するだけのものを持っています。そういった意味では儒教も最終的に江戸幕府を滅ぼしたもの一つだと思いました。2013/02/23
sayan
4
身分制度の見直しを軸に改革をせまる箇所は、生々しく迫力があった。某所で、低成長時代というキーワードで、この時代は現代に通ずる示唆が大きいという記述に興味を持って本書を読んでみた。個人的には、米中心から銭中心に移るなかで、おのずと身分制度が形骸化し、パワーシフトが大変興味深かった。2016/07/04
なつ
2
歴史上の人を生き生きと書かれてて大変面白かったです。特に源内さんが好きです。2013/02/14
ながしまともよし
1
政治家田沼意次や狂歌師太田南畝の功績が描かれている。平和な時代となり、武士の存在価値が薄れ、増え続ける人口を支える経済は停滞し、誰もが暗中模索のなか、知恵と行動力で社会の変革に挑戦した2人の姿に興味を注がれながら、読了した。田沼意次の功績を再認識するとともに、江戸時代の先見性を垣間見た気がする。2019/02/22