出版社内容情報
市川海老蔵&瑛太 主演映画『一命』原作 武家社会の掟と人間性は両立できるのか? 二度映画化され、二度ともカンヌに出品された不朽の名作「異聞浪人記」、「拝領妻始末」など代表作を収録した傑作選。
内容説明
病床の妻子を置いて家を出た浪人は、なぜ自ら命を絶ったのか?―二度映画化され、二度ともカンヌ国際映画祭に出品された不朽の名作「異聞浪人記」の他、武家における殉死の意味を問う「高柳父子」、家族愛を描く「拝領妻始末」など6編を収録。武士の悲哀を描き続けた時代小説家の傑作選。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
chimako
96
切なくやりきれない想いが胸にあふれる。竹光の脇差で無理矢理腹を切らせるなど人の所業とは思えない。それをまた、面白がって見物し、嬲り殺しにする。一人を非難しその家族までもを蔑み続け、いざとなった時には狼狽える。時世だとか、乱心だとかで全てを片付ける。人を売り買いするように居場所を決め付ける。騙し騙して騙されるが悪いとうそぶく。武士の魂は今の世でももてはやされるが、非道で卑怯で人を人とも思わない獣道もまた武士の心根。読むに耐えず何度も本を閉じながらの読書。弱者の清廉さが際立った一冊だった。2018/05/13
三代目けんこと
35
他人に笑われようが、馬鹿にされようが、罵られようが、それでも守りたい何かが ここに。
Willie the Wildcat
23
武家社会における「死」が主題。印象深いのは『拝領妻始末』。主従、夫婦、親子、親類関係・・・。これらが複雑に絡み合う中での”スジ”とは何かを考えさせられる。それぞれの置かれた立場で”スジ”を通すので、誰が正しいとか間違っていることもない。与五郎親子・いち、3人の心がつながっているように感じられる点が切なくもあり、唯一の救いのように感じる。それぞれの作品の執筆当時の補足が後書きに記載されており、これが各作品を振り返るのに厚みを付け加えてくれた気がする。2012/04/25
Porco
16
珠玉の短編集。美しい。2019/11/06
Makoto Nakagawa
15
花は桜木、人は武士2017/04/02