出版社内容情報
運命が引き起こす奇跡。青春陸上小説の傑作北海道に育った金山少年が夢中になったのは、己の限界に挑む陸上競技だった。箱根駅伝で瀬古利彦から1位でたすきを受け取った著者による、感動のスポーツ小説。
内容説明
球技はダメ、運動会も嫌い。そんな雪国の少年が知った「走る」喜び。全道中学選手権で優勝、高校の陸上部でも頭角をあらわす。仲間の死、インターハイでの瀬古利彦の快走。左足の怪我と、諦めきれぬ陸上への思い。そして出生の秘密。「少年」は3年間怪我と戦い、早稲田大学競走部に準部員として入部を許される。
著者等紹介
黒木亮[クロキリョウ]
1957年、北海道生まれ。早稲田大学法学部卒業、カイロ・アメリカン大学大学院修士(中東研究科)。都市銀行、証券会社、総合商社に23年あまり勤務し、国際協調融資、プロジェクト・ファイナンス、航空機ファイナンス、貿易金融など数多くの案件を手がける。2000年、大型シンジケートローンを巡る攻防を描いた『トップ・レフト』でデビュー。中学時代から長距離ランナーとして活躍し、大学時代は箱根駅伝に2度出場、20kmで道路北海道記録を塗り替えた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
サンダーバード@読メ野鳥の会・怪鳥
79
自らもランナーとして箱根駅伝を経験した作者の自伝的小説。瀬古、中村監督など実名で登場するからほぼノンフィクションなのだろう。前半は中学生で陸上を始めた頃から。有望なランナーとして期待されながらも、怪我で苦しみ走ることさえ出来なくなった高校時代。悩み、苦しみ、諦め、様々な思いがある中、「もう一度走りたい」その一心で怪我と闘う日々はどんなに辛いことであっただろう。走ることに対する純粋な彼の想いが感じられる。そして、早稲田大での中村監督との運命の出会い。後半へ。2015/11/14
ジュール リブレ
62
経済小説作家の黒木亮氏が早稲田の箱根駅伝ランナーだったとは知らなかった。鬼の中村監督からの指導、瀬古からのタスキ。下巻に続く。 https://bookmeter.com/events/80022021/01/03
ケイ
61
「箱根駅伝」(読売新聞) を読んでいたので、瀬古がいた当時の早稲田の中村監督の話は少しは知っていたが、これほどの熱血だったとは。ここでは触れられていないが、確か瀬古も家出をして一年間アルバイトをしてからの早稲田入学であったはず。しかし、それでも作者から見れば爽やかな根っからの走者なのだろうか。作者の中学時代の成績や練習メニューなど、詳しく書きすぎなところもあるが、どんどん読み進む。2014/03/31
tengen
52
球技や短距離走などおよそ運動が苦手だが持久走だけはついていけるなと感じていてた少年が、陸上雑誌で衝撃を受け長距離走にのめり込んで行く。 黒木さんの自叙伝的小説。2015/02/15
B-Beat
49
★約1年半ぶりの再読。初読の当時はジョグのJの一字にも関心がない身であり、半ば読み飛ばしたであろう走法や記録、レースに臨む心境などの繊細で緻密なくどいほどの記述についても、今回は自然体として噛締めるように読み進めることができた。「高校1年で終わった選手でなかったことを証明したかった」「俺の過去の4年間はこの一行のためにあった」に目頭が熱くなる。同じ本でもこれほど訴えてくるものが変わってくるのも珍しい。それは自分が走り始めからに違いないと思うのだけれど。読書とはやはりいいものだ。これが結論。結局のところ。2015/06/12