内容説明
医師になることを夢見た12歳の少女が、名門病院の心臓手術で命を落とした。手術のデータは改竄され、両親に真実は伝えられなかった―。「よい医療」とは何か。患者側と医療側が互いの溝を埋めるべく歩み寄り、病院改革、医療改革の第一歩を踏み出した、試みと知見の記録。講談社ノンフィクション賞受賞作。
目次
第1章 明香ちゃんが病院で死んだ
第2章 第5手術室で何が起きたのか
第3章 両親への報告はこうして行われた
第4章 屍を乗り越えて―東京女子医大附属日本心臓血圧研究所(心研)の戦後史
第5章 二医師の逮捕
第6章 病院が変わることを信じて
著者等紹介
鈴木敦秋[スズキノブアキ]
1963年東京都生まれ。明治大学卒業。商社勤務を経て、’90年読売新聞社に入社。医療取材に長く関わり、’07年に『明香ちゃんの心臓―東京女子医大病院事件』で第29回講談社ノンフィクション賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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sasha
7
手術中に発生した不測の事態で、心臓疾患を抱えた少女が亡くなった。その時、医療従事者は患者家族に対してどのように対応すればいいのか。虚偽の説明・データの改竄など言語道断。だが、それをしてしまったことが医療への信頼を根底から覆すことになる。何がミスで、何が不測の事態なのかの線引きは難しいのかもしれない。だが、死に至ったり障害が残ったりした場合、何が起きたのかを真っ当に説明することこそが医療従事者の責務ではないのだろうか。2019/06/12
OMO
1
面白さ:○ 興味:○ 読みやすさ:○ 新鮮さ:○ 文学的云々:×2025/02/19
うたまる
1
12歳の少女が医療事故で亡くなった東京女子医大病院事件のノンフィクション。遺族と病院側のあり方として、175~176頁の被害者父の独白には目を瞠った。互いに攻撃し合う不毛な関係からいかに脱却するかという頭の下がる素晴らしい提言だ。写経ばりに筆写して貼っておこうかとさえ思った。が、なぜこれを作品の中盤に記述したのか?実は、その後の経緯はこの理想から遠ざかっていく。誠意ある譲歩を見せた病院側の問題は氷山の一角だった。譲歩を受けた遺族の要求と復讐はエスカレートし続けた。累々たる対話の先に残ったのは、不信だけ。2017/07/28
tecchan
0
2001年3月5日12歳の少女が名門病院の心臓手術で命を落とした。医療ミスを隠すためデータが改竄され両親に真実は伝えられなかった。医療行為に完全はない、どんなに医師が頑張っても失敗することもある。「良い医療」とは何か。患者側と医療側が互いに理解し合うことが大切。この事件から早15年、医療崩壊とまで言われる昨今、道は遠い。我々一人一人の問題として考えることが必要と思う。2017/02/04
Yusuke Kitada
0
12歳の少女が医療ミスで亡くなり、データは改竄され親にも真実は伝えられなかったと言う実話。 前半はすらすら読めたが後半病院の歴史とかになってくるとちょっと読むのが辛かった。2018/04/23
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