出版社内容情報
林 真理子[ハヤシ マリコ]
著・文・その他
内容説明
冴えない女子大生キリコは就職試験に悉く失敗し、アルバイトに明け暮れている。ひょんなことからコピーライターを目指した彼女に、成功の女神が微笑む。一夜にして「マスコミの寵児」となったキリコ。世間を知り、男を知り、成功を知り、女の子は女になっていく―。全女性に贈る自伝的デビュー小説。
著者等紹介
林真理子[ハヤシマリコ]
1954年4月、山梨県生まれ。日大芸術学部卒業。コピーライターとして活躍ののち、エッセイ集『ルンルンを買っておうちに帰ろう』がベストセラーに。『最終便に間に合えば』『京都まで』で直木賞、『白蓮れんれん』で柴田錬三郎賞、『みんなの秘密』で吉川英治文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kubottar
23
恥ずかしながら初めての林真理子の本となりました。直木賞作家や「令和」を推した識者といった認識しかありませんでしたが、彼女も普通の女の子だったんですね。自叙伝的な小説で、彼女がどれだけ普通だったか、そして無意識の野心を育てていたのか、それが実に面白い。ただ、そして濡れ場が新鮮でした。女性作家の濡れ場描写は初めて読むのかもしれない。こういうことを考えるのか、と目からうろこでした。2019/12/24
Shun
19
林真理子さんがエッセイ書きから小説家となった作品。 物語は、冴えない女性が酸いも甘いも経験し最後は成功を手にするといった内容。主人公のキリコの描写を見ていると、容姿に秀でているわけでもなく性格も傲岸不遜でありプライドが高い。しかしコピーライターとしての資質には光るものがありリアリティがある。彼女には「こうありたい」自分という像があり、それゆえに人を愛することもどこか作っているように見える。最後に社会的な成功はしたが、真に愛し合うことができる相手に出会えるのかは物語のこれからにかかっているようです。2018/05/28
mymtskd
17
林真理子さんの自伝的作品。主人公は冴えない女子大生(=ご自身がモデル)ということになっているが、そう思っているのはもしかしたら本人だけで、たとえば友人や仕事上の知人などからは「野心的」「発想が面白い」「視点が斬新」「将来大物になるかも」のように見られていて決して平凡ではない。たしかに最初から恵まれていたわけではないが、後に時代の寵児になるようなきらきらした才能の片鱗があり、やはりそうした人だからこそ世に出るべくして出てきたのだ。ただのシンデレラストーリーではないと思う。2021/07/15
ヨータン
17
林さんの下積み時代を描いた小説。やはり林さんは野心家だったんですね。林さんのギラギラした欲望や野心を好まない人も多いと思いますが、私はむしろ林さんのように野心に対して忠実に生きていきたいなと思いました。2014/11/25
樹懶
9
主人公キリコがコピーライターとして活躍するまでのサクセスストーリー。この成功までの流れが突然過ぎて、私はちょっと着いて行けなかった。でも成功する時というのは、我武者羅というよりは、偽りの無い自分のまま流れに身を任せた方がたしかに上手く行くのかもしれない。 キリコはコピーライターとして成功して、富と名声を手に入れた。しかし、キリコは結局何を目指していたのか。本当の幸せとは何かを考えさせられた。2017/12/13