内容説明
自分が描いた絵の盗作問題で心に深い傷を負った彩子は、高校を卒業すると東京で働き始める。平凡に暮らしたいと願って生きる彼女に、またあの夢が訪れた。深い陶酔感に心が溶けるような夢の中に現れたのは、今度は絵ではなく一曲の旋律だった…。意想外の展開と壮大なエンディングが感動を呼ぶ傑作長編。
著者等紹介
飯田譲治[イイダジョウジ]
長野県生まれ。’86年に製作されたビデオ作品『キクロプス』で監督デビュー。’92年からフジテレビで放送されたドラマ『NIGHT HEAD』では原作・脚本・演出を手がける。主な脚本作品に『沙粧妙子 最後の事件』(’95年)『Gift』(’97年)『あしたの、喜多善男』(’08年)が、監督を務めた映画に『らせん』(’98年)『アナザヘヴン』(2000年)『ドラゴンヘッド』(’03年)などがある
梓河人[アズサカワト]
愛知県生まれ。短編「その愛は石より重いか」でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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KAZOO
63
前半はアナンのイメージ作品が出てきたり、それが盗作だといわれ、その後音楽でも同じようなことが起きて下巻ではついに文学作品で大きな賞を受けてそれがまたつぎの盗作のようなちいさな事件を起こすという輪廻のような感じを受けます。実際の表題あるようなものではなく人間のスピリチュアルなものを重視した作品であると思いました。読後感は私にはいいと思いました。2015/06/18
おかだ
31
スケール大きかった。だんだん話がスピリチュアルな流れになってきて、この作者さんらしいなあと思った。芸術とは何か、創作とは何かという事を考えさせられる。神に選ばれ啓示を受けて傑作を生み出す彩子よりも、芸術を深く愛し真摯にその道を探求して渾身の作品を生み出す紫苑の方が、私は好きだな。この二人の因縁めいた関係性が変化するところがとても良かった。2016/05/14
Dai(ダイ)
25
本が好きなら読むべし。書きたいことは山ほどあるけれども、先入観抜きで読んでもらいたい。2013/11/20
Mark
11
芸術とは何かという究極の答えは、これだと確信的に言えないけど、そのような事を考えさせられるとても素晴らしいお話ですね。スケールの大きさには驚きです。彩子に3度も神が降りてくるとは、これが彼女の人生を大きく変え、さらには家族や友人にまでも大きな影響を及ぼしている。芸術というより精神世界のお話なのでしょう。それにしても、「盗作」というこのタイトル、考えさせられますね。2013/06/27
seiko★
9
下巻は精神世界のお話に・・・。芸術とは何なんだろう…彩子のようにある日突然神様の降臨により、その時だけ創作する力。。。一方紫苑のように一途に心血を削って生まれる創作の力。。。芸術的能力の皆無の私にはやっぱり理解不能な世界・・・これからも素敵な絵を観て素敵な歌を聴いて大好きな読書をして楽しく生きて行こう。この盗作を読み改めて深く思った。2016/06/05