出版社内容情報
司馬 遼太郎[シバ リョウタロウ]
著・文・その他
内容説明
伊賀忍者の末裔で貧乏御家人の次男坊・柘植信吾は、小さな町道場・無一流指南練心館で代稽古を務めていた。ある日、道場に赴くと、用人格の老人が刺殺されていた。多くを語らない道場主と娘のちの。しかしこれが、巨万の財宝が秘蔵されているという熊野の隠し国・安羅井をめぐる壮絶な戦いの始まりだった。
著者等紹介
司馬遼太郎[シバリョウタロウ]
1923年大阪市生まれ。大阪外国語学校蒙古語科卒。産経新聞社勤務中から歴史小説の執筆を始め、’56年「ペルシャの幻術師」で講談倶楽部賞を受賞する。その後、直木賞、菊池寛賞、吉川英治文学賞、読売文学賞、大佛次郎賞などに輝く。’93年文化勲章を受章したが、’96年72歳で他界した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ぶち
90
幕末の頃、伊賀同心の末裔で貧乏御家人の弟・柘植信吾は、巨万の財宝が秘蔵されているという熊野の秘境・安羅井国(やすらいこく)をめぐる壮絶な戦いに巻き込まれていきます。絡んでいるのは、幕府のお庭番、紀州藩の隠密、そして上巻の最後には新選組まで登場してきて、大波乱の予感です。主人公の柘植新吾は、女に弱くて、ちょっと抜けているところもあって、憎めない若者です。 もう既に三人の女性が登場していて、安羅井国の探索とともに、女性たちとの色恋がどう展開していくのか、下巻が気になります2023/06/28
みゆ
72
今村さんは『イクサガミ』の柘植響陣をこの作品の主人公の子孫というイメージで書いたという話を聞きチャレンジしました♪ 貧乏御家人の次男坊・柘植信吾は部屋住みで退屈な日々を過ごしていたが、命を受け公儀隠密として巨万の金が眠る熊野の隠し国を探す旅に出る。父から受け継いだ忍びの技は確かだが、血気盛んで女に弱く、子供っぽいとこもある愛すべきキャラ。なるほど響陣に通じるところがありますね。楽しみながら下巻にGo!2023/09/08
レアル
58
司馬氏の初期の作品で伝奇モノ。司馬氏の後期に描かれる読み応えある重厚な歴史小説と比べてライトな感じで読み易い。何やら「安羅井の国」という場所へ向かう物語で、主人公の信吾の女好きキャラも含めてエンタメ小説ってところかな。読んでいて楽しい!下巻へ。2018/02/28
たいぱぱ
57
読友さんとのお喋りの中で、この本の話題になったんで読んでみました。もう60年程前の初期の司馬作品なんだけど、読みやすい!面白い!しかも余談が全くない(笑)!幕末感が皆無の幕末が舞台。紀州熊野の山中にあるという、巨万の富を有するという謎の安羅井国を巡る、伊賀忍者の末裔・柘植信吾の冒険譚。性格は違うが魅力的な女性キャラが続々と登場しますが、司馬さんの描く女性は、男にとって都合が良い女という説も頷けるような気がする。最後の最後に新選組が登場し、テンション上がったところで上巻終了。いざ下巻へ!2019/03/16
となりのトウシロウ
49
司馬遼太郎は史実に基づいた歴史小説作家という印象が強く、ここまで創作された小説は初読み。主人公柘植信吾は、伊賀忍者の末裔で貧乏な御家人の次男坊。ある日、松平豊前の守から直に呼び出された信吾は、熊野の山中にある隠し国安羅井国の財宝を公儀のものにせよという命を受ける。公儀隠密となった信吾は安羅井国に向かうという創作小説。しかし、これが面白い!信吾の傍目から見ると少しいい加減な性格も、信吾の周りの女性も、同じく安羅井国を目指す紀州藩の人達も良い感じです。京都で新撰組に絡まれそうになったところで下巻に続きます。2021/01/09