内容説明
名探偵・後動悟が密室の列車内で華麗なアリバイ崩しを披露する「手首を持ち歩く男」。師・島田荘司の人気シリーズから御手洗潔と石岡和己の名コンビが登場する「動物園の密室」。他に“あかずの扉”研究会と“霧舎学園”のメンバーも集結し、オールスター探偵がハイレベル推理を連発する、珠玉のミステリ短編集。
著者等紹介
霧舎巧[キリシャタクミ]
1963年神奈川県横浜市生まれ。駒澤大学推理小説研究会出身。’99年、『ドッペルゲンガー宮』で第12回メフィスト賞を受賞しデビュー。以後、本格推理スピリットあふれる意欲作を発表し続けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
へくとぱすかる
58
あかずの扉の長編とは、またちがった著者の凄さを感じる短編ぞろいだった。犯罪が関わる事件なら、アリバイやトリックの見事さに感服し、日常の謎なら、物語の見事さにまたまた唸ってしまう。ラストの一編は、どこか後期クイーン問題を感じさせ、ミステリの解決とは何なのか、大いに迷わせる。それも作者の力量だろう。すべて力作であり、「傑作」を名乗るのも当然だと思う。2019/09/18
カムイ
40
初読みの作家です、本格推理でもトンデモ本が多いなかに正統派になるだろう、短編6篇とも頗る良かった【動物園の秘密】【まだらの紐、再び】【クリスマスの約束】は極上の出来でした、正直期待はしてなかったので目っけものでした今年の読んだミステリーではトップクラスです、他の作品にも興味が湧く作家です。2020/08/14
すたこ
32
★★★★あまり読みたいとは思わない地味なタイトル(笑)短編集ながら、一つ一つ面白く読めた!更にラスト、『クリスマスの約束』の伏線の回収はお見事!!素晴らしい完結。あかずの扉シリーズを読んでおいたら、とにかく楽しい1冊。1冊だけど読んでいて良かった!面白かった!!2017/08/22
ばりぼー
27
味も素っ気もないタイトルが、実は内容を的確に表している驚嘆すべき作品集。個々の単品としても、危ういバランスの上に成り立つ「論理のアクロバット」が楽しめますが、別々の短編集のために書かれた作品を、最後にクロスオーバーさせて集約する『クリスマスの約束』の力技に拍手!なかでも、御手洗シリーズのパスティーシュ『動物園の密室』をリユースして取り込む、その伏線回収のしつこさには唸らされました(笑)。泡坂妻夫を意識した『月の光の輝く夜に』では、「ヒツジ出血熱」をつい検索してしまいましたし(笑)、騙りの手口は見事です。2021/06/20
ヒロユキ
26
好きな漫画家さんの昔の読みきりを読んで今と全然違う、みたいな感覚でぼんやり読んでたら『クリスマスの約束』で見事にやられてしまいました。本来別々にかかれた短編を上手くまとめあげる手腕には脱帽です。ラストに霧舎さんらしい胸をときめかせてくれるオチを持ってきてくれるのもいい感じですね。2011/12/23




