内容説明
家出をしたゴールデン王さまの行方を追って、大みそかの夜に始まる、ユカとシルバー王妃のふしぎな旅―。多くの子どもたちが夢ふくらませた、色鮮やかなファンタジー世界「クレヨン王国」。シリーズ五百万部を超えるベストセラーの原点の全容が、四十年以上を経て、いま初めて明らかに。
著者等紹介
福永令三[フクナガレイゾウ]
1928年愛知県生まれ。早稲田大学文学部国文科卒。1956年、「赤い鴉」で第9回オール讀物新人杯受賞。1963年、「十二色のクレヨン」でモービル児童文学賞受賞。1964年、『クレヨン王国の十二か月』で第5回講談社児童文学新人賞受賞。1968年より1988年まで、自然に親しむ心を持った児童を育てる目的で学習塾を開く。「講談社 青い鳥文庫」の『クレヨン王国シリーズ』は、全47冊、500万部を超える(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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わった
27
あのクレヨン王国の最初の原稿です。金色の王さまを探しに銀色の王女さまと旅に出て、その先々で学びながら王さまに少しずつ近づいていくという物語。主人公が毒をはいたり、正義側の王さまがちょっと仕返しをしたりと、聖人すぎない描写が人間らしくてとても良かった。2016/10/12
おMP夫人
23
読み進めるほどに、猛省を促されるというか...この物語の根底をなすのは「人のふり見て我がふり直せ」なのでしょうが、過度に説教じみていないのでかえって目が開かれる思いです。これをただ、児童向け文学という括りで片付けてしまうのはもったいないですね。すっかり大人になったつもりでいた私には、ちょうど良いタイミングで出会えて良かった本でした。ところどころドライで綺麗事ばかりではないお話でしたが、ラストは涙があふれました。2012/10/30
ゆうづつ
19
欠点だらけのシルバー王妃に愛想つきて出ていってしまったゴールデン王を取り戻すため、王妃と道連れのユカちゃんがクレヨン王国を旅する愉快な話。月ごとに地域が分かれていて、その月の色があるという発想がもう既に愉快です。私が好きなのは6月と8月。もてなし好きの人形たちがかわるがわる現れる6月は世界のお祭りみたいだし、怒ってばかりの海神と笑ってばかりの空神のはた迷惑なやり取りが見れる8月は楽しいです。仮にも一国の王妃なのに散々な目にあっているシルバー王妃に対して、割と歓迎されているユカちゃんはできる子ですね。2014/11/10
たぬ
11
☆4 1964年に講談社児童文学新人賞を受賞した本作が40年を経て完全版として復活! 挿絵も当時と同じ杉田豊画伯ですよ。クレヨン王国シリーズは子供の頃耽読していたからね、おばさん大喜びよ。王妃の12の短所を克服しながらのカラフルな冒険ファンタジー。メルヘンだけどばばあ連呼に耳くそ連呼というのも良い。2020/01/18
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10
王様に愛想を尽かされた王妃が欠点を克服するため、とある少女と共に色彩あふれるクレヨン王国を旅する教訓譚である。愉快でシュールなファンタジーに夢中になったのは過ぎ去りし日々、今ではその色もすっかり剥げ落ちてしまったのだろうか。12の悪癖は我々にも馴染み深いものばかりだが、最後の「お化粧3時間」だけは不自然であり、違和感を感じていた。成人し、この完全版を読んだとき、私はそれが最もありふれた人間の怠惰を示していることに気づいた。私たちは3時間のお化粧をするように、取るに足らないことで時間を無駄にしているのだと。2014/04/01