内容説明
親友との関係に思い悩む、中学2年生の香緒。研究に熱中することで、なにかを忘れようとする、香緒のいとこで大学院生の知里。一緒に住んでいた二人のもとに知里の過去を知る、るう子が転がりこんでくる。奇妙な共同生活を送る中で、明らかになる三者三様の苦悩の正体とは?講談社児童文学新人賞受賞作。
著者等紹介
草野たき[クサノタキ]
1970年、神奈川県生まれ。実践女子短期大学卒業後、会社勤務。1999年『透きとおった糸をのばして』で講談社児童文学新人賞を受賞し、デビュー。また同作で児童文芸新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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作楽
13
人間関係だけで、これだけ書けるなんてすごいな、と思った。中学生の主人公の心を描ききっているし、すぐに読めてしまう。懐かしさと、残っている感情と、物語とがりんくして、なんだかとてもよかったです。2015/12/03
ゆず
5
「『ひとはねぇ、動かなかったら、死んじゃうんだよ』[…]『おまえ、死にたいとか思ってないよなぁ』[…]死にたいなんて思ってなくても、待ちつづけて、動かないってことは、私は死ぬ準備をしてるってことで、それって、やっぱり死にたいって思ってるように見えてしまうのだろうか。[…]だれかを待ちつづけたからって、本当に死ぬわけない。だけど、死んでるみたいに生きてることにはなるかもしれない。」自分から、確かめに行くこと。踏み出した一歩はもう後戻りはできなくて、つらくて、でも、生きるって、そういうこと、なのかな?2017/02/28
fengui
3
今になるとつくづく学校は狭い世界だったなぁと思う。 だけどその時はそれが「自分の世界」で何となくよく話す友達というのは決まっていた。 その子から引導を渡された時、どうすればいいのか…。 人によって対処法などは違うんでしょうね。2018/09/18
桃の花
3
友情とは儚いものだねー。すっぺーよ。甘酸っぱいんじゃなくって酸っぱいだけです。2011/03/29
スケキヨ
3
日和見でいたくないのに学校生活はそうならざるを得ない主人公が、ちゃんと自分を出せるようになる過程が美しく描かれていてとても良かった。2009/10/14