内容説明
幕末の佐賀に生まれた幸吉は、米問屋に奉公に出るが、「新しい時代の産物」石炭に魅せられ、坑夫となってエゾ地へと渡る。広大な未開の地にあって、己の力と才覚で新しい人生を切り開いていくのだった…。幕末から明治、昭和へと、激動の時代をひたむきに生きた著者の血族を描いた物語。吉川英治文学賞受賞。
著者等紹介
原田康子[ハラダヤスコ]
1928年東京生まれ。2歳の時釧路に移り住む。釧路市立高等女学校卒業。東北海道新聞社の記者となる。’56年同人誌「北海文学」に発表後、東都書房から出版された長篇小説『挽歌』(女流文学者賞受賞)はベストセラーとなり、さらに映画化されブームとなった。主な著書に『蝋涙』(’99年女流文学賞受賞)『聖母の鏡』などがある。『海霧』で第37回吉川英治文学賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Ribes triste
4
上巻は、佐賀に生まれた幸吉がエゾ地へ向かい、釧路久寿里に、昆布卸問屋田之倉商店支店を作るまで。幸吉の立身出世物語というだけでなく、妻さよの目線からも描かれる家族の物語であるのがいい。地理的にもよく知った釧路地方が舞台だけにとても興味深く面白い。2018/04/10
micari
2
8.初読みの作家さんです。上中下巻のうちの上巻なので、感想という感想はまだないんですが、私の全く知らない時代の全く知らない土地なのに、すんなりと風景を思い描くことができる。炭鉱や町の中や家の中までもが見てるかのように思い描ける。この作家さんすごい筆力。北海道開拓者やアイヌの話を読みたくて、本作品に辿り着いたんですが、それとは少し違う話のようです。中巻へ→2017/02/16
バジル
1
題名や帯からもっと、渦巻く運命に飲み込まれる、みたいなストーリーを想像してたので、案外と軽い感じで、ちょっとほっとした。でも決してつまらない訳ではなく、登場人物に素朴で善い人々が多いところも、今のところ好みです。2018/06/01
ぼび
0
4/52009/03/17
Yoichi Taguchi
0
原田康子氏の生年・経歴から若干古めかしいかなという予断を持って読み始めたが、古さは全く感じられない。平易な文体で苦も無く読み進められる。第37回吉川英治文学賞なので、高橋克彦氏のアテルイよりも後なのだから当たり前か。確か同じときに新人賞を受賞した大崎善生氏は原田氏のご近所という記事を読んだ記憶もあるが。中巻へ。2019/02/23