内容説明
戦争は終わった。しかし出征した兄は帰ってこない。肩身の狭い疎開の日々はなお続く。不甲斐ない父と変節する大人たち。少年は哀しみを抱きつつも試練を乗り越え成長していく…。教科書に収録され読み継がれてきた、知る人ぞ知る傑作をついに文庫化。六十年前のあの青空と唄声が鮮やかによみがえる。
著者等紹介
佐江衆一[サエシュウイチ]
1934年東京生まれ。文化学院卒。コピーライターを経て、1960年「背」(新潮社同人雑誌賞)で作家デビューする。『北の海明け』で新田次郎文学賞、『黄落』でドゥ・マゴ文学賞、『江戸職人綺譚』で中山義秀文学賞を受賞
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感想・レビュー
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ジョン・リード
1
後書きにもあるとおり、終戦前後を舞台にした作者の自伝的な作品は数多くあるが、本作もそのひとつ。これらの小説の書き手たちは、自分たちの経験を伝えなければいけないという思いが強いのだろう。こういう話を読むたびに、戦争でいちばん犠牲となり苦しむのは一般市民たちということがよく分かる。同時代を描いたアニメ版の「火垂るの墓」で、テニスを楽しむ人たちのすぐ先で、主人公が妹を荼毘に付すシーンがふと思い浮かんだ。 2014/09/23
すずめ
0
高校の遠い先輩であり、祖父の同級生であった作者本人に勧められて読む。若い自分には歴史としてしか知らない戦争だが、鮮やかで詳細に戦後直後の庶民の生活が描かれることで、自分自身や祖父とも重ねあわせ、等身大のものとして感じられた。2014/03/07
るとすわ
0
備忘のため読了本登録。