内容説明
姉弟として育てられた朱音の突然の訃報を、氷山ハンター石沢恒星はカナダ沖の氷山採取船で聞く。帰国後、朱音の遺児・光晴と心を通わせるが、光晴は誘拐されてしまう。「俺は人は撃たない。撃つのは氷だけだ」という石沢に、総理を狙うテロリストは、解放の条件として“仕事”を課した。息詰まる3日間の攻防。
著者等紹介
五条瑛[ゴジョウアキラ]
’99年『プラチナ・ビーズ』で作家デビュー。’01年『スリー・アゲーツ』で第3回大薮春彦賞受賞
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感想・レビュー
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けいちか
6
うーむむむ。自分も海外在住組だけど、さすがに10年間も帰らないのはどうかと思うよ。3年くらいは有りだけど。しかし、光晴が不憫だわ~。というか、色々小さい時から大変だったのだろうが、実の父親とはいえ、閉じ込められてしまったら、恐怖で縮こまってしまうと思うのだけど。そういう些細なことを除けば、良質のエンターテイメントでした。スワローとグース兄妹と恒星のスピンオフとかないのかな。2015/01/02
higeru
5
★★★★ 「熱い氷」である。まったくもってこの著者のタイトルなどの造語のセンスには脱帽する。主人公の石澤恒星はカナダ在住の「氷山ハンター」。そんな職業があるのか?調べてみると2000年にNHKで「大自然に挑む 氷山ハンター~カナダ 極北の海と男たち~」という番組が放映されたらしい。ひょっとして著者はこれを見てインスパイアされたのかも。叙述トリックっぽい仕掛けもあって面白い。かなり厚めで時間がかかったが、読み終えてみれば満足の一冊であった。だが悲しいかな絶版なのである。私もBOOKOFFで買いました。2010/01/29
nyangle
4
あちこちの方面のいろんな人たちの場面が次々と描かれていって、それらの人々が徐々に1つの場所に結集していくような形の、まあいわばミステリー。あちこちの方面の人々がそれぞれ魅力的なので、ついつい読まされてしまう感じ。最後のほうでは「おお、この人がねぇ」と驚かされたりなんかして、まずまずのエンターテイメントでした。お話の核にあるのは、五條さんのメインテーマのひとつであろう家族愛。特に、武器屋の双子の結束が、読んでいて心地よかったです。2018/04/04
妾狂い めいとく
4
ラストシーンが好き。しいて言うなら石澤と滑川の絡みがもっと見たかった。2015/01/20
紫野
3
結局すべての原因は、朱音の両親が子供をまったく信用していなかった事に尽きるのではないかと思う。両親がそんな態度だから、周囲も疑うのではなかろうか。それなのに、そんな親を実の親のように思う恒星はいい奴だし、そんな彼だからグースとスワローが心を開くのかなぁと思った。相変わらず一気に読ませる力強さのある物語だった。面白かった。2012/11/11