出版社内容情報
浅田 次郎[アサダ ジロウ]
著・文・その他
内容説明
落日の清国分割を狙う列強諸外国に、勇将・李鴻章が知略をもって立ち向かう。だが、かつて栄華を誇った王朝の崩壊は誰の目にも明らかだった。権力闘争の渦巻く王宮で恐るべき暗殺計画が実行に移され、西太后の側近となった春児と、革命派の俊英・文秀は、互いの立場を違えたまま時代の激流に飲み込まれる。
著者等紹介
浅田次郎[アサダジロウ]
1951年東京都生まれ。1995年『地下鉄に乗って』で吉川英治文学新人賞、1997年『鉄道員』で直木賞、2000年『壬生義士伝』で柴田錬三郎賞をそれぞれ受賞する
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
471
清国人以外の登場頻度が増すにつれ、急に過去から現代にタイムスリップするような、時代の往き来を頻繁に感じるが、実際は同時代というのが非常に興味深い。三巻では、春児や文秀の出番が抑えられ、主に実在した人物たちの政治的な思惑や駆け引きが興趣に富んだ筆で描かれる。その中で、良いバランスで架空のキャラクターが配置され、狂言まわし的に物語を進めていく。王逸は思っていた以上に重要な役回りっぽい。ラストの春児無双シーンは、感動的にも見えるが、金で宝貝を買い集めて得た人望で、案外底が浅くて危険な匂いもする。2021/07/27
三代目 びあだいまおう
290
僅かな傾きが、些細な指呼さえもが、清国を支える脆弱なバランスを崩しにかかる。国内に蔓延る権謀術数、列強各国が繰り出す深謀知略に、世界中の情報を操るジャーナリスト達が絡む!日清戦争に勝利した日本でも、その後の清国が被るパワーバランスの行方に未来を左右されかねない。情報戦という新たな戦で時代が激流へと巻き込まれる中、天が降ろした運命の糸が皇帝側の梁文秀と西太后側の李春雲を再会させた。その存在感を強くしてゆく二人の、そして清国の、龍玉の行く末に目が離せない!あっ万朝報の黒岩涙香の名に読書歴の邂逅を感じた‼️🙇2020/04/04
HIRO1970
195
⭐️⭐️⭐️いやはや浅田さんはやはりハズレが無い作家さんのようです。これはまたもの凄い作品です。近代から現代へ駆け上がる歴史の起爆点に綺羅星の様なものから、どうしようもない悪人まで役者は作者の筋書き通りに揃い踏みとなってまいりました。物語はいよいよ佳境に入り始め、作者の引力にグッと惹き込まれてきました。さあ、最終巻は一体どんな展開となるのか、素晴らしい出来映えの作品に期待は高まるばかりです。2014/07/10
修一朗
170
いよいよ日清戦争時代。暗殺もありでスケールがでかくなって,語り部が日本とアメリカの新聞記者になって視点が高くなった。香港割譲の条約締結時の交渉には痺れた。李鴻章も袁世凱のふるまいもまるで見てきたように語られていて面白い。繰り返し語られる「日本で30年かかった維新を3年で成し遂げて見せる」は浅田さんの清帝国の末期を,尊王攘夷が吹き荒れた,明治維新前夜の日本と比較して描いているのだろう。西太后を正々堂々と守ろうとする春児がかっこいいねぇ。4巻へ2024/02/11
KAZOO
155
宦官の春雲と進士から高級官僚の文秀が中心となっていると思いきや、西太后あるいはその取り巻き、光緒帝、李鴻章、袁世凱それを客観的にみている海外の記者たちが入り混じっての群像物語になってきました。少し不満に感じていましたが、この巻の最後の方で二人が少年のころを思い出して対話している場面が一番印象に残りました。2024/09/06