内容説明
謎の古城に眠るフランス王家ゆかりの秘宝。それを狙うは神出鬼没の怪盗ルパン。マリー・アントワネットが残した羊皮紙の暗号を手がかりにルパンを追う天才高校生ボートルレ。宿敵ガニマール警部、名探偵シャーロック・ホームズまで登場!ルブランの最高傑作を、血沸き肉躍る興奮そのままに大胆に翻訳。
著者等紹介
逢坂剛[オウサカゴウ]
1943年東京都生まれ。中学時代から探偵小説、ハードボイルド小説を書きはじめ、’80年『暗殺者グラナダに死す』でオール読物推理小説新人賞を受賞。ギターとスペイン内戦を扱った『カディスの赤い星』で第96回直木賞、第40回日本推理作家協会賞、第5回日本冒険小説協会大賞をトリプル受賞
ルブラン,モーリス[ルブラン,モーリス][Leblanc,Maurice]
1864年フランス、ルーアン生まれ。1905年、雑誌に『アルセーヌ・ルパンの逮捕』を発表、大評判に。以後『813』『水晶の栓』など「ルパン・シリーズ」を書き続ける。’41年逝去
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
エドワード
23
「ルパン~神妙にしろぉ!」ガニマール警部の声が銭形警部にかぶさるな~。大人になってからアルセーヌ・ルパンを読むのは実は初めて。天下の怪盗を追う高校生探偵ボートルレ。フランス中を駆け回り、名画を盗み、美女を誘拐し、暗号文の解読合戦を繰りひろげる。まさに愛と冒険の連続活劇。読み進めるにつれ、ルイ14世やらジャンヌ・ダルクやらフランスの歴史にどっぷりつかる。解説にもあるように、逢坂剛さんの訳は映画のようなスピード感と色彩にあふれ、本当に読みやすかった。エトルタの奇岩は絵画で見たことがあるがまさに絶景だね。2015/10/06
ソルト佐藤
10
逢坂 剛のリライト版の奇巌城も読んでみる。基本ストーリーラインはほぼ同じ。けれど、少年探偵の一人称にすべてなおしているので、すこぶる読みやすく、そして、みんなが読みたかった正調の冒険探偵小説になっている! 中盤のルパンとの初顔合わせの加筆もよく。これはオレ達の思っているルパン。そして、最後。ホームズ先生としてはあんまりといえばあんまりな原作でしたが、ある程度フォローしている。うん、みんな、奇巌城はこれを読めばいいよ(笑2025/05/17
Stevie G
4
小学生の時ポプラ社の少年少女シリーズを読んで以来でした。当時はフランスなんて遠い遠い外国だったのですが、パリだけではなくほぼフランス中を数えきれないくらい訪れた今となっては、ボートルレ少年が各地を駆け回る距離感が実感できて一層面白く読めました。エトルタは行きましたよ。海に面したホテルにも泊まったし、奇岩の丘の上も散歩しました。あそこが舞台だったのかと、感慨もひとしおです。2014/06/06
2兵
2
百舌シリーズなどハードボイルド小説で有名な作家・逢坂剛による訳というか、リライト版。いちおう児童向けらしく、原作の三人称視点から主人公イジドルの主観視点に変更され、物語が非常にスピーディーかつテンポ良く進む。休暇を利用したとはいえ、高校生探偵が、こんなに広範囲かつ時間と金を自由に使ってのびのびと調査ができるのか、レイモンドがルパンに惚れた理由がよく分からない(そもそも彼女のキャラも…)、そして名探偵ホームズ氏がガニマール警部以上に損な役回りで、もはや名誉毀損レベルでないのか等、ツッコミどころは幾つか(続く2020/02/04
Hiroshi
2
モーリス・ルブランのアルセーヌ・ルパンは、アバウトな部分がかなりあって、そのまま訳したのでは、かなり意味不明な部分が出てくる。その点を考慮して、物語を再構築した、『奇巌城』。個人的には、隠れた名作だと思う。