内容説明
アビニョンに流れる謎の「鉄仮面」の噂。国王ルイ十四世の出生の秘密には前宰相リシュリューの影がさす。ダルタニャンとシラノは、先王の弟オルレアン公と幼君を輔佐するマザランの角逐に巻き込まれるも、弁護士ル・ブレや新聞記者クルパンの助けよろしく真相に猪突猛進。もう誰もこの二人を止められない。
著者等紹介
佐藤賢一[サトウケンイチ]
1968年、山形県鶴岡市生まれ。東北大学大学院でヨーロッパ中世史を学ぶ。1993年『ジャガーになった男』で文壇デビュー。『王妃の離婚』(集英社)は第121回直木賞を受賞した
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感想・レビュー
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まこみん
63
ダルダニャンとシラノはアヴィニョンとガスコーニュへ二手に分かれて、マザラン枢機卿とアンヌ王妃、少年王ルイ14世の出生に纏わる謎を探る。ダルダニャンにはリシュリュー側の元銃士隊長の娘マリー、シラノにはロクサーヌという恋する女性が。彼らにとって一番の行動力は大切な女性の為に尽くす事。マザラン側かオルレアン公かどちらに付くかはその結果次第。アヴィニョンとバスティーユの鉄仮面の噂、又この時代から既に共和制、三部会の市民運動があった事は知らなかった。猪突猛進の二人。エスプリの赴くままに。下巻へ。2019/04/30
k5
61
ちょいと進行遅めかも、と思っていたのですが、マザランとアンヌ・ドートリッシュ、そしてリシュリューが絡んだ陰謀の姿が明らかになってから、俄然、面白くなってきました。繊細なダルタニャンと、豪快なシラノの書き分けも素晴らしく、これは当たりの一冊。勢いこんで下巻へ。2021/05/29
イトノコ
22
再読。監視対象マリーの父親、カヴォワの死の真相を調査するダルタニャンとシラノ。やがて謎の男・鉄仮面の存在にたどり着くが、それはフランス王室をもゆるがす秘密の鍵であった。/今巻はアクションシーンはほぼ無く、謎解きアドベンチャーパート。その分、終盤のマザランやアンヌ・ドートリッシュとの舌戦に手に汗握る。大胆不敵にマザランに迫る二人が実にカッコいいのだ。そしてダルタニャンとシラノそれぞれの恋も見どころ。シラノのロクサーヌへの思いは原作を知っているとやるせない…。さあ、次で完結、圧倒的アクションに刮目して読む。2020/05/14
noémi
7
佐藤さん、本当にダルタニャンを愛しているのだなと読んでいて思いました。やたら、「これこそ熱血漢のガスコン」「快男児」「益荒男(ますらお)」もう、これ以上ほめる言葉がないでしょ?って感じ…orz とはいえ、話は鉄仮面の謎に迫るのだが、近衛隊長の・ド・カヴォワの息子がどうも鍵を握っている模様・・・。デュマの鉄仮面伝説とは大きく異なった筋運び。こうもいろいろな憶測が流れるってことは、ルイ14世ってどんな人だったんでしょうかね?でも~、ダルタニャンがそこまでコンスタンスを熱愛していたとはしりませんでした。2012/04/29
リードシクティス
6
何とか読み終えたが、展開が遅くて異様なくらい楽しめない。佐藤賢一作品でここまで合わないのは初めて。あんなに合わないと思った『カルチェ・ラタン』ですら途中で読むのをやめようとまでは思わなかったが、これは本当につらい。最後の最後でようやく事件の真相が明らかになってきて少し盛り上がりを見せたので。とりあえず下巻も読むつもりだけど、もしかしたら断念するかも…。2013/03/30