出版社内容情報
孔子に敬仰された最高の知識人の生涯
吉川英治文学賞受賞
信義なき世をいかに生きるか――春秋時代中期、小国鄭は晋と楚の2大国間で向背をくりかえし、民は疲弊し国は誇りを失いつつあった。戦乱の鄭であざやかな武徳をしめす名将子国(しこく)と、その嫡子で孔子に敬仰された最高の知識人子産。2代にわたる勇気と徳の生涯を謳いあげる歴史叙事詩。
巻一 天才の季節
巻二 しゃく陵の戦い
巻三 えん陵の戦い
巻四 軍師の明暗
巻五 苦悩の相貌
巻六 弑逆
巻七 司馬の職
巻八 暗殺
巻九 乱流
巻十 永訣の時
宮城谷 昌光[ミヤギタニ マサミツ]
著・文・その他
内容説明
信義なき世をいかに生きるか―春秋時代中期、小国鄭は晋と楚の二大国間で向背をくりかえし、民は疲弊し国は誇りを失いつつあった。戦乱の鄭であざやかな武徳をしめす名将子国と、その嫡子で孔子に敬仰された最高の知識人子産。二代にわたる勇気と徳の生涯を謳いあげる歴史叙事詩。吉川英治文学賞受賞作。
著者等紹介
宮城谷昌光[ミヤギタニマサミツ]
1945年愛知県蒲郡市生まれ。『天空の舟』で新田次郎文学賞を、『夏姫春秋』で直木賞を、『重耳』で芸術選奨・文部大臣賞を、『子産』で吉川英治文学賞を受賞。中国古代に材をとった歴史ロマンの第一人者
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
87
日本の三河を中心とした物語を読み終わりまた中国の物語に戻ってきました。春秋時代に強国に囲まれた鄭という国がどちらを向いていいかわからずに疲弊してしまっているときにこの主人公の子産の父親が活躍します。また息子の子産も後半で活躍の場を見つけます。下巻ではどのような動きを見せてくれるのでしょうか?2015/08/13
ふじさん
77
吉川英治文学賞受賞作。春秋時代中期、超大国の晋と楚に挟まれた小国の鄭は、綱渡りの外交でなんとか苦難を乗り越えてきた。鄭の執政を取り仕切る最高実力者の子駟は王を支えながら、様々な策を講じことで、司馬の子国は戦乱の鄭で鮮やかな武徳で、二人で力を合わせ難しい舵取りで国難に立ち向かう。子国の嫡子の子産には、まだ出番がないが、春秋時代全期を通じて最上の知識人として評された片鱗は、親子の会話に見られる。下巻での子産の活躍が楽しみである。久しぶりの長編だが、やはり中国の歴史は読んでいて面白い。 2022/02/06
遥かなる想い
76
以下の紹介があったが、正直なところ、「子産」が全く頭に浮かんでこなかった。小国鄭は晋と楚の二大国間で向背を繰り返し、戦乱の鄭であざやかな武得をしめす名将子国と、その嫡子で孔子に敬迎された最高の知識人子産。 二代にわたる勇気と徳の生涯を謳いあげた歴史叙事詩。2010/06/12
NAO
69
孔子が絶賛した子産は、春秋時代の中頃、大国楚と晋の間にはさまれた小国鄭の政治家。大国にはさまれているがゆえに疲弊していく国と民。この混迷の時代に、子産は、どうやって登場し、名をあげていったか。2020/08/28
キジネコ
49
「賢い者は、静かだ」の言葉が今回一番こたえました。私は相変わらず賢くない。春秋時代の中頃、大国楚と晋の勢力圏に挟まれる様にして存在した小国鄭の哀しい立場、摩滅する様に疲弊する国と民の現実に立ち向かう子国・子産父子の物語。子産没後、魯の国に生れた孔子によって「最高の知識人」と敬仰された人物がどの様にして混沌の時代に登場したか、を著す上巻。内なる怒り、感情の起伏に吾を忘れる自身の軽忽を反省しつつ下巻へ。此処にも又「風雲流水」留まり澱む事をせず流れに身を曝し乍らも吾を失わない怜悧は、私には遠い憧憬の的なのです。2020/08/01